東方・川向地区でスリムケーソン工法を採用
鋼製橋脚を多用
――橋脚には鋼製橋脚を多用していますが、その理由は
中島 建設予定地には関連街路川向線の計画があり、その上に橋を架ける必要があります。川向線の道路内にはRC橋脚を立て込むほどのスペースが無く、鋼製橋脚を採用することにしました。同様の理由により、東方・川向地区の橋梁基礎には(構造上は杭基礎で足りるが)、既設構造物との取り合いの影響で杭基礎が採用できず、スリムケーソン工法を採用しています。
スリムケーソン工法の概要
――防食方法は
中島 全て塗装を採用しています。供用後は首都高速道路が管理する予定ですので、同社の仕様に準拠しています。
ベント基礎の計算方法、架設中の計測管理は手法を統一
――施工上工夫した点や気を付けようとしている点は
中島 昨今の鋼桁落下事故もあり、桁架設中の安全対策には特に気を付ける必要がある
――具体的には
中島 例えばベント基礎の計算方法や架設中の計測管理手法は、仮設物であるため最低限のルールしかありませんでした。独自の上乗せ基準を作っているファブリケーターもありますが、今回は関西での事故を踏まえ、北西線の橋梁工事を受注した会社の知見を総合して北西線としての設計・管理要領を定め、受注業者の協力のもと実施していくことにしています。
――仮設ベントの基礎計算については、個別の積算が無く、共通管理費の中から出していたため、施工者側が持ち出しで補っている現場もあります。そうした負担を軽減して、より安全な現場架設を実現するため、NEXCOと同様、基礎地盤の調査費を積算に組み込むようなことは考えませんか
中島 そうした情報については承知しており、新規積算の必要性なども含め各社にヒヤリング中です。
環状南線は全面展開中
国土交通省とNEXCO東日本が所管
――次に横浜環状南線について
中島 事業そのものは、国土交通省横浜国道事務所および、NEXCO東日本横浜工事事務所が所管しており、横浜市は用地買収を担当しています。用地買収率は既に97%に達しています。
横浜横須賀道路の釜利谷JCTと国道1号の戸塚ICを結ぶ延長8.9kmの自動車専用道路で、工事は全面展開中です。釜利谷JCT側から申し上げますと、現在釜利谷JCT付近で整地と橋脚補強を進めています。次いで庄戸トンネルは地下ランプとして予定されており、近々開削工法で施工を開始する予定です。次の環状4号線の上を通過する跨道橋は橋脚の工事を進めています。桂台トンネルは東から西に向かってシールドマシンで掘進していく方針で現在は立坑の工事を進めています。公田ICは地下部にICを設ける構造ですが、そのためには地表にある既存道路を切り回す必要があります。既存道路上に仮設構台を設置して、そこに現在の交通を切り回し、構台直下で施工ができるよう設備中です。公田笠間トンネルは、西(戸塚側)から東(釜利谷側)に向かってシールド機による掘削を行う予定です。現在は発進側の立坑を施工中です。その西側、栄IC・JCT付近は現在100本以上にのぼる橋脚工を施工中です。栄~戸塚IC間は用地買収が完了していない箇所もあり、用地買収を進めるとともに17年度から工事用道路の施工に着手する予定です。
横浜北線や北西線よりは後になりますが20年度の供用を目指し工事を進めています。
国道16号を夜間一時通行止めして跨道部の桁を架設
金沢八景駅 金沢シーサイドラインと京急が接続
――金沢シーサイドライン金沢八景駅の京浜急行金沢八景駅までの延伸について
中島 同駅は金沢シーサイドラインが計画された当初から、京急の同駅までの乗り込みを計画していました。しかし、同駅付近の計画が再開発か土地区画整理かで決まらなかったことから現在の駅舎を仮駅として設置していました。現在は土地区画整理で決定したこともあり、京急の駅まで延伸させるべく工事を進めています。
金沢シーサイドライン路線図/全体計画図
――延伸部の形式は
中島 金沢八景駅部が橋長75.5mの4径間連続鋼箱桁2層ラーメン構造、延伸高架部が約30mの鋼箱桁+約47.5mの鋼箱桁橋となっています。延伸高架部の海側は橋脚支点上ではなく、空中で桁をつなぐ方式になっており、47.5mの橋梁とも繋ぐことで既存桁と合わせて約160mの鋼4径間連続箱桁橋を形成する予定です。
施工位置図
架設前の現場状況/架設進捗状況(井手迫瑞樹撮影)
架設完了後の状況(井手迫瑞樹撮影)
――現状と今後の予定は
中島 駅舎高架部の桁架設は既に完了しており、市道、16号を跨ぐ部分の桁架設も4月に施工する上り線を除いて完了しています。16号の桁架設については夜間通行止めを行った上で、トラッククレーン+ベント工法により架設しています。
――防食や径間的な配慮は
中島 防食は基本的にC-5系塗装を用いています。また景観については圧迫感を出さず、かつ江戸時代的な情緒を醸し出すために、駅舎のホーム部及び屋根部分は白、施設が入っている下部分は格子上の設備を施し、茶色を配した景観としています。
完成時イメージパース
――供用予定は
中島 単線での供用は平成30年度を予定しています。複線での供用は現在の仮駅を取り壊した上で、31年度内にも行う予定です。