道路構造物ジャーナルNET

57号北側復旧ルートも建設へ

九州地方整備局 阿蘇大橋の架け替えに尽力

国土交通省
九州地方整備局
熊本河川国道事務所長

森田 康夫

公開日:2017.03.30

太田川橋は連結
 北中島橋は4月から桁を送り出し

 ――さて次に、震災関連以外の構造物の建設について進捗状況をお聞きします。国道57号関連からお願いします。
 森田 国道57号宇土道路関連では、城塚橋と上網田橋が詳細設計を完了しており、下部工工事を発注したところです。いずれもPCポストテンションコンポスラブ桁となっています。また、九州横断道(嘉島~山都間)で6橋の施工を進めています。その内太田川渡河部に建設している太田川橋(PC4径間連続ラーメン箱桁)は、4月に連結する予定です。また、北中島橋(鋼4径間連続非合成鈑桁橋)は4月から桁の送り出し架設を開始します。他は一都度橋のみ上部工本体コンクリートの打設を完了しており、残り3橋は下部工を施工中です。


北中島橋/太田川橋(熊本河川国道事務所提供)

一都度橋/葉山大橋(熊本河川国道事務所提供)

 同区間は本体施工中のトンネルも1箇所(田代第二トンネル、531m)ありますが、貫通済みで現在覆工作業中です。


上部工あるいは下部工を施工中の橋梁一覧(熊本河川国道事務所提供)

 ――国道3号熊本北バイパスは
 森田 熊本市道と坪井川を跨ぐ箇所に葉山大橋を建設中です。橋長388mのPC5径間連続ラーメン箱桁橋で現在下部工を施工中です。

管理道路延長は311.6km
 橋梁延長は22.9km、トンネル延長は15.0km

 ――次に保全について橋梁とトンネルの現況から
 森田 熊本河川国道事務所が所管する道路延長は311.6kmに達しますが、構造物は橋梁が7.5%、トンネルが4.9%で、あとは土構造です。橋梁は国道3号が一番多く、橋梁数は181橋、橋梁延長は9.4kmです。トンネルは南九州西回り自動車道が最も多く(8本11.8km)次いで国道3号が7本3.2kmとなっています。


資料は平成28年3月現在、管理延長は29年度末でさらに6.8km増加している(熊本河川国道事務所提供)

橋梁 供用後50年以上経過は3分の1強
 15m未満が43%も100m以上も1割を超す

 ――橋梁についてもう少し詳しく
 森田 当事務所の橋長2m以上の橋梁は398橋あり、そのうち15m未満の橋梁は173橋と43%を占めています。その一方で100m以上の橋梁も59橋と1割を超えます。橋種別ではPCが216橋、鋼橋が96橋、RCが71橋、PC・RC複合橋が1橋となっています。供用経過年数では、50年以上を経過した橋梁は平成28年3月1日現在で130橋(34%)に達していますが、10年後には214橋56%と過半に達し、20年後には276橋と7割を超えます。


資料は平成28年3月現在、管理橋梁は今年度でさらに14橋増加し398橋となっている
(熊本河川国道事務所提供)


高度経済成長期に管理橋梁の46%が集中している(熊本河川国道事務所提供)

 ――トンネルについては
 森田 トンネルは全て山岳工法で施工されています。国道3号のトンネルは一番新しくても昭和43年と建設後48年を経過しています。点検結果は押し並べて要観察ですが、佐敷トンネルと南九州西回り自動車道の新佐敷トンネルが、平成27年度の定期点検で早期措置段階(Ⅲ)と判定されました。


平成28年3月現在のトンネル一覧(熊本河川国道事務所提供)

Ⅲ判定は108橋
 部位別では主桁の損傷が目立つ

 ――構造物の損傷状況は
 森田 平成28年3月末現在の診断では108橋(28%)で速やかに補修などを実施する必要があるⅢ判定とされました。Ⅲ判定の割合はRC橋が若干多く33%、鋼橋が29%、PC橋が25%となっています。一方で数は母数の多いPC橋が最も多く53橋に達しています。また、部位別では主桁でC判定の割合が高くなっています(全体の約22%)。損傷内容は、鋼橋が主に腐食、コンクリート橋がひび割れで損傷は端部に集中する傾向にあります。
 トンネルは定期点検の結果を踏まえ、定期的に監視を行いながら、必要に応じ措置を行っていきます。


事務所所管橋梁の維持管理状況(熊本河川国道事務所提供)

部位別損傷状況(熊本河川国道事務所提供)

 ――対策状況は
 森田 平成15年度以降、累計で293橋がC判定に区分されており、平成27年度までにそのうち209橋の対策を実施しました。残り84橋も点検後5年以内に対策します。


対策実施状況(熊本河川国道事務所提供)

 ――耐震補強の進捗状況は
 森田 緊急輸送道路上に位置する橋梁を優先して対策しており、現在88%の橋梁(146橋)で耐震補強を完了しています。
 ――2017年度の橋梁耐震補強施工予定は
 森田 国道3号久具高架橋(下り)、龍田大橋P3橋脚でRC巻き立てにより補強を実施します。国道208号第一田崎橋では炭素繊維巻立てとPCケーブルによる落橋防止装置の設置を実施します。
 ――支承やジョイントの取り換え予定は
 森田 2017年度は支承の取替を1橋、伸縮装置の取替を6橋で実施予定です。
 ――塩害やASRによる構造物の損傷は
 森田 管内の構造物で、塩害やASRに起因する大規模な損傷はありません。
 ――鋼橋塗装の塗り替え方法と今年度対策橋梁数および面積は
 森田 桁端部、損傷箇所の部分塗替えを基本に考えています。2017年度は5橋165㎡を実施予定です。
 ――新設・補修補強問わず、橋梁・トンネル・法面など構造物を中心としたNETIS登録技術の活用について具体的な活用技術と採用理由を教えてください
 森田 老朽化対策における予防保全として、表面保護工を施す事例も増えてきており、変状要因を的確に把握したうえで適切な工法を選定することが重要となります。例えば、中性化対策を目的とした表面含浸工では、鉄筋の腐食抑制効果をもつプロテクトシルCIT(HR-060004-V)を選定したりと現地状況も踏まえ、工法採用しております。
 ――ありがとうございました

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