道路構造物ジャーナルNET

2017年新年インタビュー②

熊本県 道路被害額は約460億円 上益城地区と阿蘇地区で被害額の94%を占める

熊本県土木部
道路都市局

道路保全課長 長井 英治 氏/道路整備課長 上野 晋也 氏 

公開日:2017.01.01

県管理トンネルは153本、50年以上経過は23本
 建管理橋梁は3,615橋、50年以上及び未明合わせて1,400橋超える

 ――管内の橋梁・トンネルの内訳を教えていただければと思います
 長井 県が管理する道路トンネルは現在153本です。工法は在来工法72本、NATM65本、開削工法16本です。


工法別トンネル数/建設年次別トンネル数

 ――供用年次別は
 長井 50年超は23本、40年以上〜50年未満が25本、30年以上〜40年未満が32本、20年以上〜30年未満が36本、10年以上〜20年未満が25本、10年未満が12本となっています。
 ――延長別は
 長井 50㍍未満が19本、50㍍以上〜200㍍未満が74本、200㍍以上〜500㍍未満が39本、500㍍以上〜1000㍍未満が16本、1000㍍以上が5本となっています。


延長別トンネル数

 ――橋梁に関してはどうでしょうか
 上野 県が管理している橋梁は3,615橋です。橋種別ではPC1,344、RC1805、鋼295、混合橋29、石橋15、不明等127橋となっています。供用年次では、10年未満が84、10年以上20年未満が293、20年以上30年未満が576、30年以上40年未満が535、40年以上50年未満が684、50年以上60年未満が330、60年以上70年未満が60、不明橋と70年以上が1053橋となっています。


架設別橋梁年次数グラフ/架設後50年以上を経過する橋梁の割合

 ――結構古い橋が多いですね
 上野 そうですね。橋長別では、100㍍未満が3448、100㍍以上〜200㍍未満が110、200㍍以上〜300㍍未満が33、300㍍以上〜400㍍未満が13、400㍍以上〜500㍍未満が4、500㍍以上が7橋です。
 500㍍以上の橋梁は天草瀬戸大橋、天門橋などです(下表参照)。

 ――橋梁などの耐震補強の進捗状況及び、落橋防止装置の設置状況、またその落橋防止装置というと溶接不良の問題がありましたが、都道府県や政令市によってもまちまちですが、その辺りの対策状況はどうでしょうか

 上野 緊急輸送道路上の橋梁の耐震補強を優先して実施をしてきております。平成8年度に緊急輸送道路として位置付けされた路線上に172橋あったわけですが、これらにつきましては平成27年度までに耐震性能2または3を満足する対策は完了しています。ただ、緊急輸送道路自体が平成26年に見直しが行われ、その際に追加された路線があり、新たに15橋、先ほどの172とは別に緊急輸送道路上に耐震補強が必要になりました。これらについては引き続き、優先的に対策を実施していく予定です。
 ――新たに必要になった15橋の進捗状況は
 上野 今年度は9橋の耐震補強に着手します。
 ――今後は耐震性能2で補強していくのですか
 上野 いえ、まずは耐震性能3で補強していきます。先ほど緊急輸送道路の耐震対策が終わったと申し上げましたが、その大半も耐震性能3です。全体を2にあげるというのは今からの話ですね。
 ――溶接不良問題については
 上野 国土交通省からの情報提供を基に、県管理橋梁を調査した結果、溶接不良の不具合の疑いがある製品は8橋使用されているということが判明しております。これらの橋梁につきましては、施工を行った元請会社に検査を行って、不良品であった場合は補修補強を行うように現在依頼をしています。
 ――点検を進めてみて、劣化状況というのを橋梁・トンネルとも、どう考えていますでしょうか
 上野 橋梁の劣化状況から申し上げますと、鋼橋では橋面からの漏水や、土砂堆積に伴う桁端部の防食機能の劣化が見られております。RC橋は特に海岸部においてコンクリートの浮きや剥離鉄筋露出がみられます。PC橋では、後打ちコンクリートの剥離による横締め鋼材の指圧板の露出などもみられます。部材としては、伸縮装置の止水材の劣化による下部工への漏水と床版の剥離鉄筋露出及び遊離石灰、要因としては経年劣化や塩害が考えられます。
 ――塩害は結構多いのですか。熊本では
 上野 海岸部や天草諸島域に架かる橋梁で塩害が発生しています。
 ――平成26年度の道路法改正から近接目視が必須となりましたが、26年度以降に調査した橋梁の健全度結果はどのようになっていますか
 上野 平成26、27年度で1,239橋の点検を実施しています。26年度は健全度Ⅲが4.5%、27年度は同5.2%となっています。60~70橋がⅢという状況ですね。緊急装置が必要なⅣ段階に至っている橋梁はありませんでした。
 橋長15㍍以上の橋梁については、判定区分がⅡ又はⅢの橋梁について、次期点検までに措置(対策)を実施します。15㍍未満の橋梁については、判定区分がⅢの橋梁のうち、緊急輸送道路を構成する橋梁、又は緊急輸送道路を跨ぐ橋梁等について、次期点検までに措置(対策)を実施します。対策工法としては、主にひび割れ補修、断面修復、伸縮装置取替、再塗装等の補修工事を実施しています。
 ――次いで、トンネルの損傷状況はどうでしょうか
 長井 トンネルは、うき・剥離により36本、ひび割れにより15本、漏水により6本がそれぞれ損傷しています。うき・剥離を例に工法別にみると、矢板工法が最も多く25本、次にNATM 工法が11本、素掘が1本となっています。要因としては外力性変状のほか、経年劣化、乾燥収縮、地下水の影響によるもとと考えられます。

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