2017年新年インタビュー②
熊本県 道路被害額は約460億円 上益城地区と阿蘇地区で被害額の94%を占める
熊本県土木部
道路都市局
道路保全課長 長井 英治 氏/道路整備課長 上野 晋也 氏
――本地震ではトンネルや法面や自然斜面も大きな損傷を蒙っています橋梁以外の復旧はどのように行いますか
長井 原形復旧です。不安定土塊を取って安定な斜面にしてあとは崩れないように、法枠、アンカー、吹付、そういうもので抑えるのが基本ですね。
崩落箇所(南阿蘇村)/崩落個所(西原村)
――場所によっては今回の地震でかなり大きな転石がありましたが、トンネルなど新たにそういうルートを作るという事はありますか。
長井 トンネルで被害を受けたのは県道熊本高森線俵山ルートの2つのトンネルだけです。これも致命的な被害ではなく、復旧できるということで国がやっていますし、12月24日に暫定供用されました。別ルートの掘り直しはありません。
――法面や自然斜面の損傷を受けた箇所で、危険と判断し、新たにトンネルのルートを作るという事はありますか
長井 それはありません。県が代行している村道も含めて崖が崩れたので、元の位置に崖を戻すということは経済的ではないので、すぐ横にずらすというのはありますが、完全な別ルートというのはありません。
――今次の地震では、短時間(36時間内に)に震度7の大地震が2回襲いました。こうした地震想定は、耐震設計の中でも今までにありませんでしたが、そうした意味での対処は考えていますか
長井 震度7を2回受けても耐えられるようにするか、というのは別の話です。それは耐震の方針の考え方の話なので、我々が今やれるところを、指針に沿ったものを作るしかできません。
――そうですよね。国土交通省の道路技術小委員会でもそれはナンセンスであろう、という話でした
長井 変位はかなり大きかったと思いますが、落橋したのはごく一部の特殊な橋梁だけで、それ以外は落橋しませんでした。だから、現在の耐震方法が根本的に変わるというということは思っていません。ということであれば法面等も当然原形型復旧、になるかな、と思います。