鴨川東岸線 市内幹線道路南北軸の強化を目指す
宮前橋は現橋を耐震補強し、西側の引堤部は新設
――次に新設道路の計画と進捗状況について
西 主要事業としては、鴨川東岸線があります。京都高速道路の鴨川東ランプに繋がる南北の都市計画道路です。北は出町柳から南は鴨川東ランプに繋がるもので、都心部から高速道路へのアクセスを向上させるとともに、観光シーズン等に混雑する京都駅周辺を南北に縦貫する道路を新たに建設することで渋滞の緩和も目指します。鴨川や鉄道、疏水を跨ぐ九条跨線橋との交差部は連続高架橋形式で建設を進めています。
鴨川東岸線は3つの工区に分かれており、南側の第一工区(出町柳から塩小路通までの区間及び松風橋から十条通まで)の312㍍の建設が完了しており、中間部となる第二工区715㍍の工事を行っています。中間部のうち橋梁は274㍍を占めています。現在は既設橋梁(九条跨線橋アプローチ部と交差する箇所)と交差する高架橋の建設を進めています。下部工は完了しており、現在は上部工(PC高架橋)の架設を進めています。九条跨線橋との交差部については既存橋脚に対して直角方向に桁を架ける必要がありますから、一部下部工について基礎の補強、橋脚の補強、桁の受梁の補強を行う必要があり、基礎はマイクロパイル、橋脚は各種巻立て、受梁は直角方向にPC鋼より線による補強工法を使っています。中間部については平成30年度内の完成を目指しています。北部区間の第三工区について現在、予備設計を進めています。
九条跨線橋PC桁部の施工
――市道本町下高松通の拡幅事業は
西 これも京都高速道路鴨川東ランプのアクセス強化の一環なのですが、鴨川東西ランプから山科方面へ平成24年に開通しました京都高速道路(トンネル構造)で区分地上権を設定して取得した用地を活用して、0.22㌔区間の道路拡幅をするものです。同地はトンネルの土被りが薄い上に南北に琵琶湖からの疏水が走っております。同事業区間内には高松橋があります。同橋は幅員狭小であり、橋脚もパイルベント式のため現行耐震基準に合致していなかったことからこの8月に拡幅橋(橋長27.0㍍、単純鋼床版鈑桁橋)に架け替えました。所与の条件から拡幅に際しては、基礎をできるだけコンパクトにする必要があり、底辺片持ち工法を採用しています。工程としては、先行して仮橋を架けて交通を振り、次いで現橋を撤去して新設橋を架けました。
――淀川の引堤事業に伴う宮前橋(伏見区)の事業は
西 現在の橋梁は昭和46年に供用された(橋長270.6m 基礎工:鋼管杭 下部工:逆T式橋台、T型橋脚 上部工:鋼単純合成鈑桁橋4連,鋼3径間連続非合成鈑桁橋)です。現橋は現行耐震基準に合うように補強するとともに、歩道も拡幅します。また西側の引堤分は新たに橋梁を新設(桁長95.2m、基礎工:場所打ち杭、下部工:逆T式橋台、T型橋脚 上部工:鋼2径間連続非合成鈑桁橋)して伸ばす予定です。完成後の橋長は366.4㍍となります。現在は迂回路となる仮橋を架設している状況で、本体については未着手です。
御薗橋は70㍍の2径間連続プレビーム合成桁を新設
北泉通 高野川渡河部に橋梁を設置予定
――鴨川に架かる御薗橋(北区)の架け替えは
西 現橋の直ぐ南側に新設橋(橋長70㍍の2径間連続プレビーム合成桁橋)を建設します。同橋は、緊急輸送道路に指定されている橋梁で、上賀茂神社の門前に位置する橋でもあります。毎年葵祭りの巡行の最後を飾り、賀茂川に架かる橋の中でも歴史的な意味合いが強く、特に景観や周辺環境との調和が求められています。また、災害時の緊急輸送道路に指定されており、交通量の多い重要な生活道路でもあることから、橋の耐震性や機能性も求められています。
しかし、昭和12年に供用された橋長69.8㍍の3径間鋼ゲルバー鈑桁橋であり、有効幅員は10.5㍍と狭いことから歩道幅も1.5㍍と狭くなっています。耐震性能も現行基準を満たしていません。
御薗橋は現況を大きく拡幅する形で架け替える/架設中の現況写真(右)
御薗橋の現況と完成イメージ
そのため架替えることにより、最新の耐震基準を満たした橋にするとともに、幅員も23㍍に広げることで、歩行者等の安全性の確保や道路交通の円滑化を図ります。径間数も2つに減らすことで河積阻害率を緩和します。また、御薗橋景観検討会議でいただいたご意見を踏まえ、周辺景観と調和するデザインとしています。
事業は平成27年度から着手しており、事業費ベースの進捗状況は22%です。現在は南側半断面の左岸側の橋台と橋脚工を完了しており、10月から右岸側の橋台と上部工の工事に着手しています。南側半断面が完了すれば、交通をこちらに切り回し、隣接する旧橋の撤去、同地への北側半断面の施工を行う予定です。全体の工事完成年次は平成32年度を予定しています。
――都市計画道路北泉通は
西 同線は、左京区一乗寺の白川通から同区下鴨の下鴨中通に至る左京区中部地域の東西補助幹線道路であり、高野川左岸の川端通から高野川右岸の京都工芸繊維大学間のみが未整備となっています。その区間延長214㍍について整備を進めているもので、高野川渡河部に橋梁を1橋予定しています。
――橋梁の概要は
西 橋長47㍍の2径間連続鋼・コンクリート合成床版橋を予定しています。今年度内に下部工に着手していきたいと考えています。
――トンネルの新設は
西 国道162号上では、今後もトンネルを新設する計画がありますが、着手に向けてはまだ時間がかかりそうです。
――ありがとうございました