京都府 道路交通部
理事(道路管理課長事務取扱)
千阪 貞昭 氏(左写真)
京都府 2,216の橋梁、62本のトンネルを管理
架設後50年以上の橋梁は525橋、トンネルも約10本
――現在の管内橋梁・トンネルの内訳は
斉藤 本府では、橋長2㍍以上の橋梁(カルバート含む)を2,216橋管理しています。内訳はRC橋が一番多く1,304橋、次いでPC橋が544橋、鋼橋が357橋、その他が11橋となっています。
架設年次では1960年代から1980年代に架設された橋梁が全体の約6割を占めており、架設後50年以上の橋梁は約525橋と全体の約4分の1に達しています。ピークは1966~75年の10年間で664橋です。つまり10年後には50年以上経過橋が半数を超えるということになります。
橋長別にいうと、15㍍以上が660橋、15㍍未満(ボックスカルバート含む)が1,556橋となっています。100㍍以上の長大橋は74橋あります。
路線別では、県管理国道が456橋、主要地方道が924橋、一般県道が836橋となっています。
府管理橋梁の構造別・延長別内訳
――同様にトンネルは
千阪理事(道路管理課長事務取扱) 62本のトンネルを管理しており、工法別では、在来矢板工法が34本、NATM工法が28本です。
建設本数の推移では、比較的新しいトンネルが多く、完成後50年以上が経過したトンネルは13本となっております。
延長別では100㍍未満が16本(全て在来矢板)、100㍍以上500㍍未満が最も多く29本(在来11、NATM18)、500㍍以上1,000㍍未満が11本(在来7、NATM4)、1,000㍍以上が6本(全てNATM)となっています。
路線別では、県管理国道が34本、県道28本となっています。
トンネル構造別・延長別内訳
大門橋で損傷Ⅳを記録
要因は鋼橋が主桁の腐食 PCで主桁のひび割れも
――点検を進めてみての各管内路線の劣化状況について
斉藤 橋梁については、平成19年度より近接目視と遠望目視を併用して行っておりました。平成26年度からは、全て近接目視で行い現在2~3巡目となっております。昨年度までに、判定区分がⅣと診断された橋梁も1橋ありました。全体的な傾向として、判定区分Ⅱが437橋と全体の約54%を占めており、判定区分Ⅲは104橋です。
橋梁・トンネルの判定区分
判定区分Ⅳとなった大門橋(京丹後市、間人大宮線、供用後約50年を経過)は橋脚の本体が老朽化して、一部が鉄筋露出していることや上部工も僅かですが沈下しており、基礎の損傷が疑われることから、通行止めの措置を施しています。沈下については河川そのものの改修を過去行っており河床も下がっていることから、その影響も考えられます。
こうした橋梁については補修・補強あるいは架替えを行っていきます。
――橋種(鋼、PC、RC)、部位(桁、床版、橋脚、地覆、高欄など)ごとの損傷傾向と理由について
斉藤 損傷の傾向、詳細な分析は未実施ですが、排水施設、伸縮装置がある桁端部付近に劣化損傷が集中しており、鋼橋の71%、コンクリート橋の45%で漏水・防水不良が劣化要因と判定されています。
特に凍結防止剤を重散布する路線では、局部的な劣化が著しく進行していました。また、府北部地域は日本海に面しており、海水の飛来飛沫および凍結防止剤の散布(NaCl散布量は年約5,000㌧におよぶ個所もある)が(鋼・コンクリート問わず)劣化原因となっていることが懸念されています。
――その対策は
斉藤 平成26年度以降、橋梁は近接目視により点検していますが、凍結防止剤の重散布路線では、それ以前の遠望目視により点検した橋梁で桁端部のみが層状剥離している耐候性鋼材の橋梁や、塵や土砂の堆積によって点検作業の効率化が著しく低下することが課題になりました。
また、塩分付着量検査を行うと雨が直接降りかかる外桁の外面は、概ね雨により自然流下していることが分かりました。一方で内桁フランジ面や排水流末近傍に多く塩分が残留していることが分かりました。付着塩分を桁洗浄によって除去し、1年後に塩分量を再計測しましたが、同程度の付着塩分量が確認されており、重散布路線では塩分付着を完全に防ぐことは難しいことが分かっています。
鋼桁端部の損傷/RC桁端部の損傷
ジョイント部の損傷/桁洗浄
そのため桁端部の洗浄を行うとともに、地元業者と協力して(平成26年度からの)橋梁定期点検の間(1周り5年)に桁端部に特化した点検、補修を進める取組を検討しています。