NETISにも登録 今後は国交省にも拡大
好川産業 水系塗膜剥離剤「パントレ」年15万平方㍍の販売目指す
好川産業株式会社
代表取締役
好川 久雄 氏
好川産業は関西を中心に土木・建築問わず塗装に関する道具を収め続ける商社である。その同社が平成26年4月に発売開始した水系塗膜剥離剤「パントレ」がこのほどNETIS登録を完了。既に発売開始以来、約16万平方㍍の実績を有するが、NETIS登録を契機にさらに国土交通省案件への積極的な拡大をも目指している。そもそもなぜ、同社が塗膜剥離剤分野に進出したのか、他社と異なる製品その他の長所は何か、好川久雄社長に聞いた。(井手迫瑞樹)
環境重視を意識し、最初から水系で開発
5℃程度の低温環境下でも施工可能
――まず「パントレ」の内容から改めて説明をお願いします
好川社長 鋼橋塗替えの際の既設塗膜除去を対象にした。水系エマルジョンを主成分とした塗膜剥離材です。PCBや鉛・クロムなど有害物質を含有した塗膜除去が主な対象で、旧塗膜の上面から剥離材を塗布、浸透した成分が塗膜を化学的に膨潤させスクレーパーなどを用いて除去します。従来のブラスト工などと違い、施工中に粉塵が生じないため作業員の安全や周辺環境への影響も少なく、除去後の廃棄物処理量も5%程度に減量できます。
また、ここが大事なのですが、成分中に塩素系溶剤を含まないため、PRTR法にも該当しません。消防法上も非危険物に該当しているため管理し易い製品です。
1平方㍍当たりの塗布量は1㌔を推奨しており、500μm以下であれば1回で全膜厚を除去できます。それ以上の膜厚であれば状況に応じて数回に分けての施工が必要になりますが、これは他の塗膜剥離剤と変わらないと思います。塗膜成分によっては調整が必要なため施工前の試験施工を推奨しています。温度的には5℃ぐらいの低温環境下でも施工可能です。
――NETIS登録がこのほど完了しましたね。これまで自治体や高速道路会社では実績がありましたが、国土交通省案件はそれほど取れていませんでした
好川 おかげさまでつい先日、NETIS登録番号を取得できました。番号はKK-160028-Aです。おっしゃる通り、これからどんどん国土交通省案件を攻めていきたいと考えています。
現在までに約70現場16万平方㍍の実績を有しており、特に昨年度は10万平方㍍弱を使用していただけました。今年度(同社は8月決算)はこれを15万平方㍍/年まで伸ばしたいと考えております。そのため各種展示会意にも積極的に出展していく方針です。
――そもそも塗膜剥離剤に手を伸ばしたのはどういう理由からですか
好川 4年前ですか、関西の代表的橋梁のの塗り替えには(PCBが含有されていたことから)塗膜剥離剤工法を使用して塗り替えられましたが、その際の養生材や塗装に用いる各種道具は当社が収めていました。使用されている量を見て、担当者が塗膜剥離剤はこれから伸びるぞ、と直感したのが最初です。
それから試行錯誤して2年半前に1号案件(沖縄県北部土木事務所所管 大保福地橋)に使用していただいた際には、本当にありがたく感じました。
沖縄県北部土木事務所所管 大保福地橋で初施工した
膨潤した既設塗膜/スクレーパーでスムーズに掻き出せる
施工例
――最初から水系の塗膜剥離剤を開発したのは
好川 環境重視の世論を考慮すれば、水系しかないと考えたためです。建築材はほとんどが水系ですし、プラントも水系塗料のウエイトが増えています。塗膜剥離剤とはいえ、その流れには逆らえないと考えました。結果的に様々なことも重なって現在では塗膜剥離剤も水系が主流になってきており、判断は間違ってなかったと思っています。
塗替え設備をパッケージ提案できる点が強み
――御社の他社にないメリットは
好川 塗膜剥離剤自体は、他社製品と劣っている点はないと思います。これを安くしかも現場機材も含めてパッケージ提案できるのが、当社の利点です。塗膜剥離剤はA社、刷毛はB社、養生シートはC社という形で発注することに比べて、その全てを1社で用意したほうが合理的ですし手間が要りません。運送を考えても安くできます。性能+α、ここを評価されて当社を採用された元請さんもいらっしゃいます。
――設計・施工要領書などの作成は行っていますか
好川 施工計画書・シートおよび安全対策のしおりは詳しいものを作成していますが、設計までのものは作っていません。必要があれば、今後作成していきたいと思います。性能的に有機塗膜は除去できるが、無機ジンクは除去できない、というのは他の塗膜剥離剤と変わりません。そうした際や1種ケレンを要する現場は、電動工具やブラストが別途必要になります。そうした性能上の限界はきちんと明記しています。
――出口戦略はどのように考えていますか
好川 PCBはもちろん、鉛についても最近は燃焼などによる無害化処理が環境の点から採用されている事例が増加していることは認識しています。塗膜剥離剤に用いられている成分的に、燃焼時に有毒ガスを発生させることはありませんが、実際に燃やして確認したことはありませんので、できるだけ早く確認し、書類として明示していき、ユーザーの安心に配慮していきます。
――ありがとうございました
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