道路構造物ジャーナルNET

塩害やASRにより傷んだ橋を補修

福岡市 雑餉隈駅付近の連続立体工事が佳境に

福岡市 道路下水道局
管理部長

宮本 能久

公開日:2016.09.16

7つの踏切を除却
 平成32年度には鉄道を高架化

 ――新設事業は
 宮本 西鉄雑餉隈駅付近の連続立体交差事業を進めています。
 西鉄天神大牟田線の雑餉隈駅付近は、福岡市南部の地域拠点と位置付けられています。しかし、多くの踏切があることで慢性的な交通渋滞や重大な踏切事故が発生し、また鉄道による地域の分断など、安全で快適なまちづくりを行う上で大きな支障となっています。
 本事業は、これらの問題を改善するため、鉄道の高架化を行い、7つの踏切を除去することとしています。
 事業概要については、事業名が西鉄天神大牟田線連続立体交差事業(雑餉隈駅付近)、事業区間が福岡市博多区南八幡町~博多区西春町までの約1.86㌔、除去される踏切が7箇所、立体交差となる道路が11箇所、整備される側道が6路線となっています。事業費は約340億円、事業期間は平成22年度~35年度となっています。
 平成27年度から本格的に鉄道高架橋工事に着工しており、福岡県も隣接して春日原駅~下大利駅までの約3.3㌔の連続立体交差事業を同時施工しており,平成32年度の同時高架切替を目指しています。その後、現在線撤去や側道整備等を行い、平成35年度の事業完了を予定しています。
 また、連続立体交差事業の整備手法については、線路を一時的に横に移して高架化を行う仮線方式と、現在の線路の位置で高架化を行う直上方式の2種類で行っております。仮線方式については、昼間に工事を行うことができますが、直上方式については、電車の運行が終わった夜間での工事がメインとなります。
 構造形式は基本的にRCラーメンです。


雑餉隈駅付近連立事業の位置図

事業前後のイメージ写真

今年度および来年度が事業執行のピークに
 基礎工で低振動・低空頭、狭小施工可能なTBH工法を採用

 ――現況は
 宮本 仮線区間(約0.62㌔)については、現在、土留工事や盛土工事、その他付帯工事等を行っており、今後、軌道敷設工事や電気工事等を行うこととしています。
 直上区間(約1.24㌔)については、高架橋工事や雑餉隈駅の仮設ホーム化工事、その他付帯工事等を行っており、今後、仮駅舎の建築工事等を行うこととしています。なお、平成29年春に仮線路への切替を予定しており、鋭意、工事を進めています。
 進捗率としては、平成27年度末時点(見込)の事業費ベースで、約46%となっています。今年度および来年度が事業費のピークとなりそうです。 
 ――技術的な特徴は
 宮本 鉄道高架橋の基礎杭の施工については、当該工事箇所が家屋に近接している都市部であり、また工事ヤードが非常に狭く、施工がかなり難しいことから、TBH(トップドライブリバース)工法を採用しています。同工法は、従来の正循環工法に対し、「逆循環(リバースサーキュレーション)」で大口径ボーリングを可能にした工法です。施工機械が小型のため、狭小かつ低空頭な敷地でも施工が可能です。また、進入道路が狭い場合でも軽量かつ小型であるため、搬出入が容易です。施工時の騒音、振動も低く抑制できます。
 ――交差道路が数カ所できるわけですが、コンクリート剥落対策など予防保全的な対処は行っていますか
 宮本 特段行っておりません。しかし、予防保全的な対処を検討する必要はあるかもしれません。

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