塩害を考慮して新設、保全対策
北部国道 名護東道路など5事業が進捗
内閣府沖縄総合事務局
北部国道事務所
所長
喜舎場 正秀 氏
安根橋と金武大橋で補修
シラン系含浸材を塗布、電気防食も採用
――長寿命化修繕計画に基づく今年度対策予定の2橋を具体的に
喜舎場 国道58号安根橋(橋長14.31㍍、単純プレテンT桁)と国道329号金武大橋(306㍍、単純ポステンT桁×9連)です。両橋ともひび割れ対策および表面保護工(シラン系含浸材塗布)を行います。安根橋は特に損傷が進んでいることから電気防食を行います。
安根橋(左)と金武大橋(右)の塩害状況
補修工事を進めている安根橋
――電気防食はどのような工法をどの部位に施工しますか
喜舎場 電気防食は、外部電源方式によるチタン溶射方式で施工します。
――今年度の支承やジョイントの取替えは
喜舎場 支承取替やノージョイント化については予定ありません。ジョイントは安根橋とスパンダ橋で埋設型ジョイント、東寺川橋(下り線)で荷重指示型ゴムジョイントおよび同型鋼製ジョイントに取替えます。
長堂橋でインバイロワン工法を採用
下弦材の一部に溶射(MS工法)
――塗替えは
喜舎場 昨年度は長堂(ながどう)橋で6,600平方㍍、今年度は東寺川橋(下り線)で2,400平方㍍塗り替えます。
――PCBや鉛を含む既存塗膜がある橋梁について塗り替えの際の除去はどのように行っていますか
喜舎場 長堂橋の既存塗膜には鉛が含まれていたことから、塗膜剥離剤を用いて既存塗膜を除去するインバイロワン工法を採用し、除去塗膜を拡散させないように回収しました。保管用コンテナを設けて回収した除去塗膜を専用のドラム缶に保管し、県外の専門業者(光和精鉱(北九州市戸畑区))により処理しました。
――塗装以外の溶射など重防食の採用は
喜舎場 長堂橋の塗り替えにおいて下弦材の一部でMS溶射を採用しています。
名護以北に災害が集中
法面、自然斜面の崩落
――全国的に異常気象による土砂災害が相次いでいますが、道路に面する斜面や、古い法面などをどのように補強、補修して道路を守っていくのか、具体的な事例や計画を教えてください
喜舎場 とりわけ名護以北ですよね。最近では国道58号の名護市喜瀬の山側の法面が、一昨年の大雨で部分的に崩落したため、応急的にH鋼で止めた上で、昨年度防災対策事業として発注し対策工事を進めています。また大宜味村の根路銘では国道58号沿いの民地の自然斜面が大雨で崩壊し、国道まで土砂が流出したため、土のう等の応急対策を施した上で、県と協力し治山事業として対策を行っています。
制度的には、防災対策箇所は毎年点検、その他法面は構造物点検にて5年に1度点検し、それぞれ変状を確認しています。また、大雨・台風直後にも変状が無いかを確認しており、これらの点検によって変状が確認された箇所については、詳細調査などによって対策を検討し、補修を施しています。但し、橋梁のような「補修計画」は作成していません。
――新技術(NETIS工法の活用)やコスト縮減策は
喜舎場 沿岸部など特に腐食が著しい個所では、アルミ製の防護柵をNETISの中から選定して採用しています。
――大規模橋梁の架け替えや修繕計画について
喜舎場 平南橋をどうするかが課題です。現在は補修により延命化を施す工事を施工していますが、損傷状況から見て、いずれ架け替えは避けられないと考えています。
――ありがとうございました
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