塩害を考慮して新設、保全対策
北部国道 名護東道路など5事業が進捗
内閣府沖縄総合事務局
北部国道事務所
所長
喜舎場 正秀 氏
沖縄シリーズの第3回目(①、②)は、沖縄本島北部地域の道路を所管する北部国道事務所を特集する。同事務所は2路線約135㌔を所管する事務所で、管内には73個所の橋梁、9個所のトンネルを有する。また、また、新設道路として名護東道路や、恩納・恩納南BP、金武BP、読谷道路などの事業を進めている。新設・保全ともに塩害を考慮した設計・施工を行っている。詳細について喜舎場正秀所長に聞いた。(井手迫瑞樹)
20㍍以上の橋梁73橋を管理
トンネルは9箇所を所管
――管内の概要から
喜舎場所長 まず、基本的に沖縄本島は四方を海に囲まれた亜熱帯性気候の地域に属し、高温・多湿に加えて、台風の常襲地域となっています。また、当管内は、本島北部の自然豊かな「山原(やんばる)」地域を有し、丘陵地帯を背景に、海岸沿いを南北に直轄管理2本(恩納村およびうるま市以北)の国道を管轄しています。58号は恩納村山田~国頭村奥までの約93㌔、国道329号は名護市世冨慶~うるま市栄野比までの約42㌔が管轄範囲です。橋梁は延長20㍍以上が73橋、トンネルは9箇所を管理しています。
道路整備については、県内最大の集客力を誇る本部町の「美ら海水族館」や観光リゾート地域である恩納村など多数の観光資源・施設を有する地域を抱えていることから、観光シーズンやイベント時などに発生する交通渋滞の緩和に加えて、観光の支援、地域の活性化を目的とした改築事業(地域高規格道路名護東道路、地域高規格道路読谷道路、恩納・恩納南BP、金武BP)を進めているところです。
構造物の整備に当たっては、先ほども述べましたように、現道及び改良事業箇所のそのほとんどが海岸線に近く、飛来塩分による既設構造物の老朽化対策および新設構造物の塩害対策には、各種基準などに基づいた対応を行っているところです。
名護東道路 3号トンネルが貫通
数久田高架橋は下部工を施工中
――その58号名護東道路から
喜舎場 予定延長8.4㌔中、6.8㌔(名護市大北~数久田)が事業化されており、1工区(伊差川~世冨慶)4.2㌔は暫定2車線で供用しています。現在は2工区(世冨慶IC~数久田IC))2.6㌔の施工を進めています。
2工区の構造物比率は70%で、残区間でもトンネル2本、橋梁5橋を予定しています。3号トンネル(551㍍)が貫通済みで、4号トンネル(1021㍍)は用地買収を進めており工事は未発注です。橋梁は世冨慶IC関連で4橋あり、2橋が完成、世冨慶IC2号橋(プレテンPCT桁)が上部工施工中で、同3号橋(鋼箱桁)が今後発注予定です。長大橋としては3、4号トンネルの間に数久田高架橋(218.5㍍、ポステンPCホロー桁)があります。現在は下部工を施工中です。
下部工施工中の数久田高架橋
北部国道事務所管内事業中道路の構造物一覧
恩納・恩納南BP 南の残工区が完了次第4車線化を急ピッチで進める
恩納は7橋、南も7橋を建設予定
――恩納BPは
喜舎場 恩納村安富祖~南恩納の県道88号と連結する区間5.1㌔が事業対象です。次に紹介する恩納南BPともども、現道が貫く集落を迂回するためのBPです。
恩納BP事業は、平成23年4月に全線で2車線暫定供用しました。現在は引き続き4車線化を進めています。後からお話しします恩納南BPの残り工区の進捗をにらみながら、同工区が完了次第、4車線化を急ピッチで進める予定です。事業比ベースでは約8割の進捗率となっています。
管内の構造物比率は約22%です。構造物は橋梁を8橋予定しています。現在は2橋(1、8号橋)が完成し、3橋(3、5、6号橋)の下部工を施工中です。交差点部を先行して完成させていく方針です。
――恩納南BPは
喜舎場 事業対象は恩納村南恩納~仲泊間6.5㌔です。工区は3つ(1工区2 ㌔、2工区2.8㌔、3工区1.7㌔)に分かれておりますが、2工区、3工区の4.5㌔について既に暫定2車線での整備を完了しています。現在は1工区残り2㌔の工事を進めており、平成29年度内には全線を暫定2車線で供用する予定です。事業費ベースで約8割程度の進捗状況です。一部用地買収が難航している箇所については収用手続きに入っています。
構造物は残工区内に7橋予定しており、全てPC桁です。そのうち3号橋は今年度完了予定で、現在は1、2、6号橋の下部工を施工中です。
金武BP 1号橋は上部工架設を完了
2号橋は用地解決し、P2橋脚の施工に着手
――金武BP事業は
喜舎場 現道は金武町市街部を通っており、キャンプハンセンの軍関係車両の通行と相まって交通渋滞が多く、線形も良くありません。そのため、市街地から南の海岸線沿いに延長5.6㌔のバイパスを設ける事業です。
終点(南)側の2.2㌔区間(国道329号~金武町道111号までの接続部)、起点(北)側の0.8㌔区間は平成24年までに供用しました。残り2.6㌔を施工中です。供用目標年次は平成30年度を予定しています。事業費ベースの進捗率は約8割に達しています。
構造物は4橋予定しており、金武BP1号橋(255㍍、プレテンPC4+3径間連結床版桁+鋼単純ローゼ桁)は上部工架設を完了しています。また金武BP1号跨道橋(16㍍、プレテン単純T桁)も今年度完了する予定です。残りは2橋ありますが、最長の2号橋(431㍍、ポステンPC4径間連結T 桁)については、P2橋脚を除いて下部工を完成しており、用地の問題でP2のみ着手できない状況が続いていましたが、このほど解決しましたので、今年度P2橋脚工事に着手し、完成次第上部工に入っていきたいと考えています。また、金武BP4号跨道橋(20㍍、プレテンPC単純桁)についても工事を進めています。
上部工架設時の金武bp1号橋