道路構造物ジャーナルNET

港川橋梁・牧港橋梁の上部工に着手へ

南部国道 那覇空港自動車道や沖縄西海岸道路を推進

内閣府 沖縄総合事務局 
南部国道事務所長 

上原 重賢

公開日:2016.07.16

保全 100㍍超の長大橋が84橋と過半を占める
 トンネルは全体で9箇所

 ――次に保全ですが、現在の管内橋梁・トンネルの内訳を
 上原 全体橋梁は151橋あり、その内鋼橋が64橋、PC橋が64橋、RC橋が8橋、混合橋が15橋です。トンネルは全体で9か所あり、工種は在来が2、NATMが5、沈埋が2箇所となっています。
 供用年次別で申しますと、1950年代が4橋、60年代が1橋、70年代が10橋・2トンネル、80年代が32橋・2トンネル、90年代が40橋、00年代が38橋・1トンネル、10年代が26橋・4トンネルとなっています。一番古い構造物は66年経過している国道331号の港橋です。
 延長別では100㍍以上の橋梁が84橋と過半を占めます。1㌔を超えるトンネルも2箇所(豊見城トンネル上下線)あります。路線別では国道506号が45橋・2トンネルと最も多くなっています。

健全度Ⅲの橋梁は10橋
 コンクリート橋で主桁や床版にひび割れ

 ――管内橋梁の損傷傾向は
 上原 5年に1回の定期点検で補修が必要と診断された健全度Ⅲと診断された橋梁は10橋あり、そのうち8橋が補修済みとなっています。
 路線別では、国道58号は1日最大交通7万台と全国でも有数の交通量であり、比較的古い橋梁が多いため、鋼橋の腐食、床版コンクリートのひび割れ、漏水、遊離石灰が生じています。泊高橋では、海砂使用によるRC床版の鉄筋腐食が生じており、床版を打換えました。
 329号は、比較的新しい内陸の路線であり、鋼、コンクリート橋とも比較的健全です。
 330号は40年以上経過した橋梁もあり、鋼橋の腐食、RC床版からの漏水、遊離石灰が見られます。コンクリート橋も同様の損傷が見られます。
 331号は本島の西から南を通過する路線で、米国統治時代に作られ、60年以上を経過した橋梁があります。損傷状況は330号と同様の傾向を示しています。
 332号は比較的新しく鋼材の腐食が目立つ程度です。
 506号は最も新しい路線で10年強しか経過していない橋梁が多く、比較的健全といえます。
 ――損傷の主たる理由は
 上原 鋼橋については、添接部のボルトや添接板、高欄、支承、伸縮装置などで腐食や錆が発生しています。路線ごとの損傷の違いはなく、経年劣化や高温多湿、海岸に近いことから飛来塩分が付着することなどが主な原因です。
 コンクリート構造物については主桁や床版のひび割れが生じています。これは塩害に加えて、当時用いた骨材も原因の一つとして考えられます。海砂を使っていたわけですが、塩分総量規制前とはいえ、満足に洗浄されていなかった可能性があります。また古い橋梁では骨材の産地規制などを行っておらず、ASRによる損傷が起きている構造物もあります。おおむね架設から20~30年後に起きているようです。ASRについては山下垣花高架橋のPC桁や下部工にひび割れが生じていましたが、桁には保護塗装、下部工柱部には耐震補強を兼ねたRC巻き立てなどで既に補修を終えています。

PC桁でもASRによるひび割れが散見
 特にプレテン桁で顕著

 ――RC桁だけでなく、PC桁でもひび割れは生じていますか
 上原 506号喜屋武高架橋などでASRによるひび割れが散見されています。箱桁橋や中空床板橋に多く、58号の明治橋、山下垣花高架橋などでも見られています。
 特にプレテン桁でASRによる損傷が多く見られます。その補修については、反応を抑制するため、ひび割れを充填した上で含浸材を塗布することにしています。

未除塩の海砂の使用により損傷
 泊高橋のコンクリート床版

 ――コンクリート床版の損傷については
 上原 乾燥収縮や塩害が主たる要因です。沖縄県では軽自動車が走行車両の約半数を占めるため、疲労による損傷は起きていません。塩害によって損傷が生じた床版を打ち替えた実績は泊高橋やツマサ橋(北部国道管内)などがあります。架設後60年が経過している国道58号の泊高橋など3橋では、床版で未除塩の海砂を使用していることにより損傷が発生したようです。そのため、泊高橋については床版を取替えました。その他2橋についても予算を勘案しつつ、詳細な調査を検討しています。


劣化した既設床版の撤去

新設床版の設置状況

 床版防水については敷設率の把握はできていません。防水工は舗装を打ち替える際にシート系防水、塗膜系防水を状況に応じて使い分けます。
 ――損傷橋の過去の対策状況は
 上原 平成25年度は国道330号の我如古橋で塗装塗替と検査路の補修、506号の宮城高架橋で塗装塗替を行いました。また、平成27年度には58号泊高橋で床版取替など、330号浦添第2陸橋、浦添第3陸橋、329号松本橋で伸縮装置の取替などを行っています。
 ――未対策の残り2橋は
 上原 58号の長田橋(鋼リベット橋、1953年架設、橋長18.87㍍、全幅員21.59㍍)と白比橋(上り)(単純鋼I桁橋、1975年架設、橋長25.00㍍、全幅員15.60㍍)です。
 ――今年度の施工予定は
 上原 白比橋の補修を施工予定です。
 ――トンネルの点検状況は
 上原 トンネル点検は平成26年6月の「道路トンネル定期点検要領(国土交通省道路局国道・防災課)」に基づき5年に1度の定期点検を実施しています。損傷が見られる箇所については随時補修補強を行っていく方針です。

南風原高架橋に一部着手したい
 景観に配慮しつつ補強

 ――耐震補強の進捗状況は
 上原 151橋中132橋で対策を完了しています。3プロ対策については全橋で実施済みで、現在は平成8年以降の示方書に基づいたさらなる補強を実施しています。
 ――今年度の対策予定は
 上原 予算を勘案しながら、「ハシゴ道路ネットワーク」に位置付けられている路線(特に506号)の対策を優先的に進めていく予定です。
 ――南風原高架橋の耐震対策は
 上原 上路式連続RCアーチ橋ということで景観に配慮しつつ補強します。設計は完了しており、今年度一部着手したいと考えています。


南風原高架橋の耐震補強は今年度一部着手の可能性も

 ――昨年度および今年度のジョイントや支承の取替え予定は
 上原 ジョイント取替を329号松本橋、330号浦添第3陸橋で実施しました。支承交換はありません。今年度は、白比橋の補修施工時に、ジョイント取り替えを予定しています。

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