道路構造物ジャーナルNET

トンネル・橋梁など構造物多し

高知県 四国8の字ルートを補完する道路を整備

高知県土木部
道路課長

森田 徹雄

公開日:2016.06.01

2,593橋、204トンネルを管理
 100㍍以上の長大橋は160橋、1,000㍍超のトンネルも11箇所 

 ――次に保全について現況から
 森田 本県では2,593橋の橋梁を管理しています。内訳は鋼橋が507橋、RC橋が1,565 橋、PC橋が480橋、その他41橋となっています。供用年次は1960年代がピークで600橋を超える橋梁を建設しており70年代から90年代にかけても各年代で300橋を超える橋梁を建設しています。一方橋長別で申しますと、15㍍未満が1,600橋弱と全体の6割程度を占めます。100㍍以上の長大橋は160橋です。路線別では国道が720橋、主要地方道が910橋、一般県道が963橋となっています。


橋種別比率(左)と供用年次別橋梁数(右)

橋長別橋梁数(左)と道路種類別橋梁割合(右)

 その他41橋の中には四国の水がめといわれる「早明浦(さめうら)ダム」の湖上を通過する県道17号上吉野川橋(昭和46年3月供用、中央部:鋼吊橋、両側径間:鋼合成鈑桁、橋長321.36㍍、有効幅員6㍍(全幅6.6㍍)、本四架橋のパイロット橋として建設された橋梁で、主ケーブルの定着は上流側がプレファブパラレルワイヤーストランド(PWS)、下流側がエアスピニング(AS)工法を採用しているなどの特徴を有する)などの吊橋も有しています。県管理ではありませんが、県内の仁淀川町が管理する大渡ダム大橋(大渡ダムの湖面橋、橋長444㍍(内401㍍部分が鋼吊橋))でも主ケーブルの損傷が見つかり直轄診断および直轄修繕がなされています。
 トンネルは204本を管理しており、工法別内訳はNATMが86本、在来112本、素掘・吹付5本、開削1本です。供用年次別では1960年代から急速に増加し(20本)、70年代は35本、80年代は46本、ピークの90年代は49本に達しています。延長別では50㍍以上~200㍍未満が最も多く80本を超えています。次いで200㍍以上500㍍未満が65本、500㍍以上1,000㍍未満が36本となっています。1,000㍍を超える長大トンネルも11本保有しています。


工種別トンネル割合(左)と年次別トンネル数(右)

延長別トンネル数(左)と道路種類別トンネル割合(右)

PC橋は橋軸方向の損傷を確認
 グラウト充填不足が主たる原因と推測

 ――点検を進めて見て、劣化状況について詳しくお答えください
 森田 橋梁の定期点検は、2㍍以上の橋梁を遠望目視と近接目視点検の併用方法により、平成23年度で1巡目の点検を完了しています。
 平成26年度からは改正道路法に基づく近接目視による点検を2順目点検として実施しているところです。現在のところ損傷区分的に最も悪いⅣは見つかっていません。 
 1巡目点検の橋長15㍍以上を有する橋梁の損傷傾向を申し上げますと、鋼橋では健全度が高い割合が小さく、腐食や防食機能の劣化が確認され、経過年数に比例して、ある程度損傷している状況にあります。今後は架橋環境の分析も行いながら、予防保全型のメンテナンスへの転換を目指したいと考えています。
 コンクリート桁やコンクリート床版では、健全度が高い状況の部位と低い状況の部位の2つに大別される傾向が確認されています。本県の地形上の太平洋側に面した道路において塩害などの損傷があると分析しています。今後は架橋環境の分析を進めて、建設時においても予防保全として、表面保護工などの処置を検討していきたいと考えています。
 PC橋は、橋軸方向にひび割れやコンクリートの剥落が確認された橋梁があり、全国的に課題となっているPC鋼材のグラウト充填不足が主たる原因と推測しています。PC鋼材は腐食程度で破断までに至っている橋は幸いありませんでした。近接目視点検で確実に状況を確認し、特に、上縁定着工法を採用している橋梁については、予防保全の観点からも確実な排水処理と橋面には防水層を新設または更新していく方針です。
 ――PC橋は初期の単純ポステンT桁に損傷が多く発生していることが全国的に見られていますが高知県は
 森田 同様の傾向と認識しています。

トンネル 外力状況にも目を向けていく
 長寿命化修繕計画も検討中

 ――トンネルについてはいかがですか
 森田 現在は分析中です。平成26年度の道路ストック総点検では、道路利用者の安全性の観点や緊急的な点検として、遠望目視と近接目視点検の併用により点検を実施しました。
 平成27年度からは改正道路法に基づいた近接目視による点検を実施しています。長寿命化修繕計画の検討も始めており、28年度は詳細検討を行う予定です。
 県下の管理トンネルのデータ分析までには至っていませんが、在来工法では、漏水や遊離石灰などが発生しており、その経年変化により、ひび割れなども確認されています。NATMでは、スパン間の目地部の欠けや部分的にクラウン部に縦断的なひび割れが確認されています。外力による損傷は、ほとんど確認されていませんが、高知県は年間降雨量が全国でもトップクラスで、県北東部では地滑り地帯が多くあります。地滑り地帯での降雨量が多く、土被りが薄い区間にあるトンネルでは、定期点検に加えて、外力の状況にも目を向けていきたいと考えています。

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