道路構造物ジャーナルNET

7割以上が単径間、157箇所が矢板工法

大分県 2437橋、252トンネルを所管

大分県土木建築部審議監
(前大分県土木建築部参事監兼道路保全課長)

菖蒲 明久

公開日:2016.05.17

鋼橋塗替え 28年度は17橋21,600平方㍍を計画
 既設塗膜除去は塗膜剥離剤を使用しているケースも 

 ――平成27年度の鋼橋塗替え実績と28年度の見込みを教えて下さい 
 菖蒲 27年度は14橋14,900平方㍍で塗替えを行いました。そのうち全面塗替えは7橋13,700平方㍍で、部分塗装は7橋1,200平方㍍となっています。28年度は17橋21,600平方㍍の塗替えを計画しています。そのうち全面塗替えが11橋21,100平方㍍、部分塗装が6橋500平方㍍です。ケレン方法は3種を基本に必要な箇所があれば1種ケレンを施しています。
 ――ポリ塩化ビフェニール(PCB)含有塗膜橋の有無および鉛等有害物を含む既設塗膜の剥離方法は
 菖蒲 PCBを含有している橋梁は現在把握しているもので2橋あります。うち1橋については、24年度に塗替えを実施し、現在、低濃度PCBを含有した塗膜くずを保管しています。鉛などを含有している既設塗膜の除去については塗膜剥離剤を使用することで対応しています。

耐候性鋼材は鋼橋全体の1/4で使用
 5橋で区分Ⅲ判定、保護塗装で対策

 ――近年、耐候性鋼材を採用した橋で架設条件により、錆による劣化・損傷が報告されている事例が出てきていますが、大分県は
 菖蒲 耐候性鋼材を採用した橋梁は102橋と全体の1/4に当たる鋼橋で採用しています。これまでの点検で防食機能の劣化によりⅢ判定となった橋梁が5橋確認されており、いずれも伸縮装置部などからの漏水に起因した錆が確認されています。対策としては保護塗装を施しています。
 ――全国的に異常気象などによる土砂災害が相次いでいますが、大分県として道路に面する斜面や、古い法面などをどのように補強・補修して道路を守っていくのか具体的な事例や計画などがございましたら教えてください
 菖蒲 平成27年6月に策定した「大分県道路啓開計画」の中で選定した最優先啓開ルートや、通行止めにより集落が孤立するような行き止まり道路などにおける道路防災総点検で要対策と判定された箇所について、優先的に法面対策を実施しています。
 なお、法面については26年度に道路ストック総点検において点検を実施しており、現在道路防災事業計画を策定中です。
 ――法面・自然斜面の道路防災事業計画の具体的な内容および数量は
 菖蒲 道路防災事業計画は、落石や崩壊等の自然災害に対しての道路防災対策を計画的・効率的に実施するために、平成8年度及び22年度に実施した道路防災総点検の結果をもとに、今後10年間の事業計画を定めたものです。要対策箇所は、全体で1,748箇所あり、26年度末時点での対策完了数は452箇所(26%)となっています。また、最優先啓開ルート上の要対策箇所は64箇所であり、26年度末時点での対策完了数は26箇所(41%)となっており、平成30年度までに対策を完了させる目標としています。
 ――保全分野における新技術の採用について
 菖蒲 先にお話しました通り、耐震対策での橋脚補強として恵比須橋などでSRS工法を採用しました。また、恵比須橋では塩害対策として電気防食工法(ガルバシールド)を初採用しました。


県で塩害対策として初採用した電気防食工法「ガルバシールド

 ――大規模補修補強を行っている構造物は
 菖蒲 海岸に程近い河口部にある恵比須橋で台船を使用し、仮締め切りを行った上で橋脚補強を行うSTEP工法を採用しています。また上町橋では炭素繊維補強および外桁に新たに耳桁を設けて外ケーブル補強などを行っています。


STEP工法/上町橋全景

補修補強中の上町橋(元請は末宗組)/全体的に中性化が進んでおり、右写真のような著しい損傷もある

炭素繊維シート補強も行っている

 ――ありがとうございました

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