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乙津橋、鶴崎橋は新たに拡幅橋を新設へ

大分県 大田杵築線2号橋など特徴ある橋梁を建設中

大分県 土木建築部
前 参事監兼道路建設課長
(現 国土交通省関東地方整備局道路部道路企画官)

鈴木 通仁

公開日:2016.05.17

耶馬溪道路 3号トンネルを掘削中
 延長3㌔弱の長大トンネル 

 ――地域高規格道路の中津日田道路(国道212号)は
 鈴木 中津港から日田ICに至る約50㌔の区間で計画している道路です。その内、県では、耶馬溪IC~国道212号との合流部間5㌔に位置する耶馬溪道路の整備を進めています。耶馬溪道路は中津3号トンネル(2,986㍍)4号橋(176㍍)を始めとして、トンネル1箇所、橋梁7箇所を予定しています。


中津3号トンネル

 ――中津3号トンネルはかなりの長大トンネルですね
 鈴木 延長は約3㌔あり、県管理トンネルで1番の長さとなります。平成27年度に両側から掘削を始めており、現在は東側が約600㍍、西側が約300㍍それぞれ掘進しています。
 ――掘削にあたって岩質や湧水等の課題はありませんか
 鈴木 全体的には安定した岩質と考えており、通常の支保パターンで設計しております。坑口部には表層崩壊跡や湧水が確認されており、そうした部分ではAGF工法を使用して施工しています。
 ――橋梁の現況は
 鈴木 橋梁は河川を跨ぐ個所や渓谷部などで計7橋が計画されています。1、4、5号橋は下部工が進捗していますが、上部工の発注は平成28年度以降になる見込みです。2,3,6号橋は設計が完了しているものの工事は未着手です。

日田山国道路 約3㌔の長大トンネルを予定

 ――日田山国道路(国道212号)は
 鈴木 地域高規格道路中津日田道路の一部として、平成27年度に新規事業採択された中津・日田市境の8.5㌔の事業です。同区間の特徴として、最長約3㌔の長大トンネルを筆頭にトンネルは6箇所で計画されています。また小規模な橋梁を5箇所程度予定していますが、基本はトンネルと土工です。今後詳細設計を予定しています。


設計中・設計済み・建設予定の橋梁およびトンネル

 ――国道217号白木拡幅は
 鈴木 国道217号大分市白木地区(旧佐賀関町白木)の幅員狭小、線形不良な現道を拡幅する事業です。約2㌔の事業延長のうち、710㍍部分について平成29年度供用を目標に工事を進めています。同区間内には(仮称)白木トンネル(延長172㍍)を予定しており、昨年10月に施工業者が決定し、現在工事を進めています。
 ――同平岩松崎BPは
 鈴木 国道217号の津久見市内で事業を進めている延長約1.7㌔のバイパス事業です。現在計画中の構造物としては青江川渡河部に計画している(仮)2号橋(橋長約61㍍、幅員11.0㍍(車道幅員6.5㍍)、鋼単純非合成箱桁橋)があります。基礎は場所打杭を用いますが、30.5㍍と少し深くなっています。ほかJR日豊本線を跨ぐ個所に(仮)1号橋を計画しており、今後設計を予定しています。

乙津橋、鶴崎橋で拡幅橋を計画
 特徴ある景観に配慮しつつ形式を決定へ

 ――今後計画している橋梁やトンネルは
 鈴木 国道197号(本線、JR鶴崎駅付近)の4車線化(鶴崎拡幅)に伴い、乙津川に架かる乙津橋、大野川に架かる鶴崎橋の拡幅を計画しています。乙津橋については海側、鶴崎橋については山側に2車線ずつ拡幅する予定です。


乙津橋

乙津橋を側道橋から見る/河岸から見た乙津橋の桁

 これまで、海岸部に国道197号のバイパス的な意味合いで建設された県道22号大在大分港線がありますが、同線はそもそも現道の交通量を分担するため有料道路として整備されました。現在は無料化され、(現道から)5,000台以上転換していますが、それでも乙津橋西~鶴崎橋東の区間は1日約3万台を超える交通量があります。その渋滞を軽減するため4車線化を図っているものです。現橋形式は乙津橋が橋長258㍍の鋼曲弦トラス(昭和30年代では珍しいボウストリングトラス)、鶴崎橋が橋長334.5㍍の鋼ワーレントラス形式となっています。新設する拡幅橋については、現橋に配慮した景観性と経済性を考慮して橋種を選択することになろうかと思います。


鶴崎橋

鶴崎橋(橋面)/河岸から見た鶴崎橋の全景

 ――具体的には
 鈴木 鶴崎橋はスパン割が最大で約100㍍と長いため、同様の形式を採ることになろうかと思います。但し、乙津橋はスパン割が約40㍍と短いため、通常の桁橋も含めて検討することになると思います。
 ――近接施工ということで基礎工には通常の新設橋以上に気をつける必要があると思いますが
 鈴木 もちろん詳細に調査を行い、慎重に施工する必要があります。特に乙津橋については基礎工種が不明であり、調査も慎重に行っていく必要があります。
 ――進捗状況は
 鈴木 都市計画の変更手続きが完了した状況です。橋梁については現橋の隣に2車線の橋梁を新設することになります。今年度以降、乙津橋側から用地買収などを進めていく方針です。
 ――他は
 鈴木 豊後大野市で展開している県道519号三重新殿(みえにいどの)線BPの牟礼前田工区(延長3,040㍍)において、大野川を渡河する箇所で橋梁の建設を予定しています。橋種は未定ですが、橋長は約230㍍程度になる見込みです。
 他に山国川河口部(中津市・福岡県築上郡吉富町境)で架橋構想はありますが、具体化はしていません。

新深江、西幡、鎌手などのトンネルが設計済み
 鎌手トンネルは来年度発注へ

 ――トンネルについては
 鈴木 大分県日田市内の県道647号栃野西大山線(中津江工区)で(仮)蕨野トンネル(延長432㍍)の設計を進めています。現道は松原ダムを建設した当時(1958年着手、72年竣工)に作った道路ですので、線形も悪く幅員も不十分なためバイパス道路の建設を進めているもので、その一環として整備するものです。なおトンネル前後に上蕨野橋(約30㍍)、蕨野橋(約70㍍)を架設する計画です。
 県道35号三重弥生線の佐伯市内で事業中の小半工区では、(仮)小半トンネル(280㍍)を計画しています。現道が川沿いの素掘りのトンネルで、川側の岩盤厚が非常に薄くなっているため、危険ということで山側に新たなトンネルを掘ろうとしているものです。現在は設計に着手したところです。
 県道707号大泊浜徳浦線の臼杵市内で事業中の深江工区では、(仮)新深江トンネル(342㍍)を予定しております。設計は完了しており、施工に向けて用地買収を進めています。現道の素掘りの1車線のトンネルをしっかりとした2車線のトンネルにしようというものです。発注時期は未定です。
 佐伯市内で展開している国道217号戸穴(ひあな)BPでは、(仮)西幡トンネルを設計済みです。現道は山裾に小さなトンネルがあるのですが、線形改良のため新たに675㍍の比較的長いトンネルを設置するものです。
 日田市内で事業中の国道212号響峠BPでは(仮)鎌手トンネル(613㍍)を計画しています。設計は完了していますが、発注時期は未定です。坑口部はAGF工法を採用する予定です。
 ――ありがとうございました

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