乙津橋、鶴崎橋は新たに拡幅橋を新設へ
大分県 大田杵築線2号橋など特徴ある橋梁を建設中
大分県 土木建築部
前 参事監兼道路建設課長
(現 国土交通省関東地方整備局道路部道路企画官)
鈴木 通仁 氏
大分県は、県土の約7割が林野で占められ、山がちな地形、平野部には大分川や大野川、山国川などが注ぐことから、道路整備にはトンネルや橋梁の建設は避けて通れない。一方で悲願であった東九州自動車道が全線開通し、今後、九州の東の玄関口として大きな発展が見込まれる。その発展をさらに促進するための道路づくりについて詳細を、同県土木建築部の鈴木通仁道路建設課長(現 国土交通省関東地方整備局道路部道路企画官)に聞いた(平成27年度末に取材)。(井手迫瑞樹)
7割が林野、山と川が多く構造物は必須
宇佐別府道路や東九州自動車道は早期に4車線化を
――大分県の地勢的特徴と道路網の現状は
鈴木前課長 本県は、九州の北東部に位置し、海岸部は北の周防灘から東は豊後水道に面しており、北部は遠浅海岸、中央部は波穏やかな別府湾、南部はリアス式海岸と変化に富んだ海岸線を形成しています。平野部は比較的少なく、背後には「九州の屋根」と呼ばれるくじゅう連山をはじめ、由布・鶴見・祖母・傾などの山々が連なり、県土の約7割が林野で占められています。そのため、道路トンネル数は日本一です。地形は急峻で大分川や大野川、山国川など大河も多いことから道路整備は遅れ気味です。
高速道路網は、大分自動車道、平成27年に全線開通した東九州自動車道などがあります。今後力を入れていく道路としては、地域高規格道路で国土交通省が整備を進める中九州横断道路、県等が整備を進める中津日田道路などがあります。全線開通している高速道路も暫定2車線区間が多く、宇佐別府道路は全線開通して20年を経ていますし、東九州自動車道の県南区間の一部も平成13年の供用以来10年以上を経過しています。こうした区間等で4車線化を要望し、早期に実現していきたいと考えています。
――北九州~宮崎までが全通した今、様々な観点から4車線化は望まれていると思います
鈴木 既に1万台を超える区間も相当数あり、必要性は高いと考えます。国の方でも高速道路の4車線化について予算化に向けた動きもあり、期待しています。
大分は瀬戸内海航路(例えば国道197号海上道路など)により九州の玄関口であり、高速道路が開通したことで物流基地としての重要性は従来にも増しています。今年10月には新しい貨物船の航路(大分港~清水港(静岡県))も開かれる予定です。九州の東の玄関口としての機能を高めていくというのが県の方針であり、そうした機能を発現する道路整備を進めていきたいと考えています。
――現在整備中事業は
鈴木 大分県内の県管理道路は約3,000㌔に達します。非常に路線も多いわけですが、整備率は76%程度となっており、これは九州7県では中位に位置します。
施工中の橋梁・高架、およびトンネル
大田杵築線2号橋、龍王橋などを施工中
――構造物を含む主な事業としては
鈴木 まず最近供用した県道51号別府挾間線浜脇工区(別府市、延長720㍍)があります。JRの跨線橋(別府市道も跨ぐ)を東別府駅付近に建設しました(浜脇跨線橋)。同橋は橋長214㍍(幅員11㍍)の複合橋です。
浜脇跨線橋
――県道49号大田杵築線(2期工事)は
鈴木 杵築市内の旧杵築市と旧大田村を結ぶ区間に計画している道路で、急勾配、線形不良、幅員狭小等の障害を解消すべく整備を進めています。1期区間6.9㌔は供用しており、現在は2期区間2.5㌔を施工中です。既にPC橋区間は施工完了しており、現在は石山ダムを跨ぐ部分の鋼橋架設工事を進めています。
ローゼ桁部の現在部分の架設/現在は完了
――鋼橋部分の詳細は
鈴木 鋼単純バスケットハンドルニールセンローゼ(172.5㍍)+鋼単純非合成鈑桁橋(40.5㍍)です。現在、ローゼ桁の弦材部分の閉合を完了しており、引き続き補剛桁部分の架設を進めています。
――県道50号安心院湯布院線は
鈴木 宇佐市安心院町内龍王付近の延長約320㍍で現道の拡幅を行っている事業です。中でも深見川渡河部では龍王橋を橋長83㍍、幅員7㍍(車道幅員6㍍)のPC2径間連続箱桁橋に架け替える予定です。現在は仮橋を架けて交通を切替えるとともに、旧橋を撤去し、同じ場所に新橋を架設中です。下部工を完了し上部工の施工に入っています。