橋脚の向きが全部違う(仮称)新々富士川橋
最長支間は125㍍ 景観にも配慮
――他、建設中の長大橋、長大トンネルなどは
平野 長大橋としては一般県道富士由比線の(仮称)新々富士川橋があります。同橋は県道富士由比線の富士川橋周辺における渋滞解消や富士川流域の交流促進を目的とした橋長741.5㍍の鋼7径間連続鋼床版箱桁橋で、前後延長計約1.4㌔のバイパス事業の一部として建設が進められています。下部工は逆T式橋台(A1:直接基礎、A2:場所打ち杭基礎)、壁式橋脚(P1、P2:直接基礎、P3~P6:ニューマチックケーソン基礎)となっています。上部工の架設はベント併用トラッククレーン工法で計画しています。
(左)計画位置/(右)水理模型実験も行った
――富士川の治水への配慮は
平野 日本三大急流の一つとして知られる富士川に架橋することから、橋梁予備設計時に水理解析を実施し、橋脚配置の違いによる流況への影響を把握し、支間割などの検討を行っております。また、その後、水理模型実験(架橋位置を含む延長約5㌔間の模型で縮尺は1/80)を実施し、橋脚の向きおよび基礎の根入れ深さを決定しています。
平面図をみれば分かりますが、橋脚の向きが全部違います。例えばP3は少し外側に広がっています。最長支間は125㍍に達します。そのため桁高は最大で5㍍となっています。支承は免震ゴム支承を採用しています。
(仮称)新々富士川橋の平面図
――景観への配慮は
平野 新々富士川橋は、富士山を背景とし、富士川や雁堤(左岸側にある堤、1674年完成)などの歴史的名跡を通過する位置に計画されていることから、学識者や地域代表を委員とした「(仮称)新々富士川橋景観検討委員会」を設立し、基本テーマを「富士を擁し、快適な形に」に決定しました。また、橋梁詳細設計時には、景観について詳細な検討が必要であることから、専門家による現地での景観検討を実施し、景観に配慮しました。橋の塗装色としては富士山の景観を阻害しないよう目立たないグレーベージュを予定しています(上は供用時のイメージ写真)。
――現在の進捗状況は
平野 P1、P2の2基を施工中です。
エポキシ樹脂塗装鉄筋や耐候性鋼材を採用
――静岡県の橋梁の防食については
平野 コンクリートについては被り厚を増したり、エポキシ樹脂塗装鉄筋を採用するなどして、塩害対策を施しています。鋼桁については基本的に耐候性鋼材を採用しています。飛来塩分が予想されている箇所については、重防食塗装により対応しています。