215橋を管理 40年超が47%
トンネルは13本、500㍍超えのトンネルは4本
――現在の管内橋梁の内訳は
久田 橋側歩道橋を含め215橋あります。橋種別ではPC102橋、RC34橋が鋼77橋、混合橋1橋、石橋1橋となっています。
年次別では40年以上経過しているのが101橋と全体の47%を占めており、20年後には9割強に達する見込みです。
橋長別では15㍍以下が67橋と3割強を占める一方で、100㍍以上も34橋と15%強に達しています。400㍍以上は2橋あり、天ヶ瀬第1高架橋と池ノ原橋です。特殊橋はなく全て鈑桁や箱桁など一般的な構造となっています。
――特徴ある橋梁は
久田 国道210号の白手橋は大正13年に架設された20.5㍍の単純石造アーチ橋です。同橋は鉄道用として供用され、昭和元年に道路に転用されました。以前行った点検・診断の結果、主桁・地覆のひび割れ、はく離、鉄筋露出などが見られます。
また90年以上経った橋として国道10号の小谷橋(大正7年、橋長6㍍の単純RC中実床版橋)、両郡橋(大正14年、3㍍、RC中実床版橋)があります。これらについては今後、補修を行っていきます。
――トンネルの内訳は
久田 全体で13本あり、工法別では従来矢板工法が8本、NATM工法が5本(古城山(上下線)、上尾(上下線)、大部の各トンネル)となっています。500㍍を超えるトンネルは4本(古城山トンネル、上尾トンネル、いずれも上下線分離)あります。
34橋中Ⅲ判定が12橋
特に鋼橋ではⅢ判定が6割強を占める
――大まかな劣化傾向は
久田 定期点検の結果(平成25年度末)で点検済み215橋のうち、C判定が94橋、B判定が76橋となっています。
C判定の橋種別割合はコンクリートが49橋で52%、鋼が44橋で47%、混合橋1橋(1%)となっています。C判定の損傷部位は主桁が57橋(コンクリート34橋、鋼23橋)、床版が29橋(コンクリート12橋、鋼16橋、混合1橋)、支承が30橋(コンクリート9橋、鋼橋21橋)、下部工47橋(コンクリート21橋、鋼26橋)、橋面工が36橋(コンクリート14橋、鋼21橋、混合1橋)となっています。
26年度には、新しい基準に従って34橋の定期点検を実施しました。その結果、Ⅰ判定が13橋、Ⅱ判定が9橋、Ⅲ判定が12橋となりました。Ⅲ判定の内訳はコンクリートが3橋、鋼が9橋となっています。
C1、C2と判定された部位は、主要部材(主桁、横桁等)が13橋(コンクリート3橋、鋼10橋)、床版2橋(各1橋)、下部工10橋(コンクリート4橋、鋼5橋、混合1橋)、支承10橋(鋼橋10橋)、橋面工14橋(コンクリート3橋、鋼10橋、混合1橋)となっています。
全体的な健全度はⅠ~Ⅲで概ね3割ずつの結果になっていますが、橋種別で見ると、PC・RC橋でⅠが5割以上を占めるのに対し、鋼橋ではⅢ判定が6割以上と、鋼橋の損傷が顕著に見られます。その損傷傾向を見ると「水」が影響しています。伸縮装置からの漏水により、主桁端部および支承部が腐食しており、鋼板の断面減少や支承の機能障害も見られます。また、国道210号では冬期に凍結防止剤を散布する箇所もあるため、塩分を含んだ漏水が腐食を促進している可能性もあります。
点検した3トンネルともⅢ判定
滝瀬隧道で連続繊維シートなどによる補修
――トンネルの定期点検状況は
久田 25年度までの点検では、13本ともB判定でした。26年度の新基準による点検では、点検した3トンネルともⅢ判定でした。具体的には覆工コンクリートに浮きが生じている状態です。そのため今年度、国道210号の滝瀬隧道でFORCA(フォルカ)トウメッシュ工法による剥落防止対策とトランスEX工法による漏水対策を施す補修工事を行っています。
FORCA(フォルカ)トウメッシュ工法
トランスEX工法
――耐震補強の進捗は
久田 現在は県庁所在地を結ぶ道路のうち、国道10号などの東南海地震、南海地震の発生が予測される地域の橋梁を優先し、フルスペック(平成8年道示対応)補強を進めています。対象橋梁数は54橋で既に47橋を完了し、7橋を残すのみとなっています。今年度は国道210号の新合田橋で橋脚のRC巻立てによる補強、上部工の落橋防止装置(PCケーブル+アンカーバー)の設置を行いました。今後は未実施橋梁のうち、南海トラフ地震防災対策推進地域内に位置する2橋(庄内橋、小野屋大橋)を優先して補修工事と併せた効率的な施工を行う予定です。
新合田橋の耐震補強
庄内橋(左)/小野屋大橋(右)