今年度上部工補修補強は12橋を予定
床版防水工の有無は未把握
――上部工補修補強のここ3年の実績と今年度予定は
佐藤 長寿命化修繕計画の数量ですが、今年度は12橋が完了予定です。また過去3年では91橋で対策工を施工しました。
――床版の損傷の進行速度には防水工の有無が大きく関係しますが、防水工の有無を把握していますか
佐藤 床版防水工は橋面の既設舗装を更新する際に合わせて行っています。全体的な集計はしていません。
――支承やジョイントの取替は
佐藤 今年度支承取替を行うのは大阪臨海線の助松橋の1橋のみです。ジョイント交換は4橋(150㍍)で予定しています。
――コンクリート構造物の塩害、中性化あるいはASRによる損傷が疑われる個所はありますか
佐藤 極端に集中して出ているケースはありません。軽度にそうした要因で損傷している橋梁はいくつかあるようです。
鋼橋の塗り替えは12橋33,000平方㍍
鉛・PCB対策は、暫定的な運用フローを作成
――鋼橋の塗り替えは
佐藤 平成26年度は23橋約47,000平方㍍で塗り替えました。今年度は12橋33,000平方㍍の塗り替えを予定しています。基本的にRc-Ⅲ(3種ケレン)を採用しています。
鋼橋の塗装塗り替え予定
塗り替えなどを行った蛍ヶ池高架橋
――鉛を含有している塗料について
佐藤 PCBや鉛を含む塗料により塗装された橋梁の再塗装については、労働基準監督署と相談の上、慎重に施工しています。再塗装する際には、周辺環境及び従事する作業員に悪影響を与えないよう配慮する必要があると考えており、塗膜の除去時における粉塵化の少ない塗膜剥離剤ないしはミスト工法を選択するともに、適切に剥離塗膜を処理したいと考えています。また、状況に応じた現場養生・工法選択のため暫定的なフローチャートを作成しており、現場担当者に示しています。
――PCBを含有している橋梁の把握と対策について
佐藤 大阪府の管理する橋梁でPCBを含有している橋梁がどれくらいあるか、トータルで把握はしていません。今後個別に塗り替えの時期に入った橋梁に関しては、事前調査を行った上で含有が確認されれば必要な対策を行っていく方針です。
耐候性鋼材使用橋は26年度1橋補修
桁端部が大きく損傷、一部取り替え
――耐候性鋼材を採用した橋梁の劣化・損傷事例はありますか
佐藤 府管理橋梁で耐候性鋼材を採用した鋼橋は9橋ありますが、これまでの点検ではいずれも健全度は70以上を保っており、劣化は確認されていません。但し1箇所だけ平成26年度に補修しました。それが耐候性鋼材由来の損傷であるか否かは確認していません。
――どのように損傷しており、補修したのですか
佐藤 桁端部が大きく損傷していました。山岳部に架かっている橋梁で、ジョイントの止水構造が失われ、凍結防止剤を含んだ漏水が一番低い桁端部(上沓の上部分)に集中してかかっており、それが大きな損傷を招いたようです。このため損傷部分の桁の一部取替え等を施工しました。他は健全でした。
耐候性鋼材については、その設置環境によっては異常な腐食が発生することもあるため、適切に点検・維持管理を実施していくことが必要であると考えています。
――桁端部の塗装は行っていたのですか
佐藤 していなかったようです。
――いつごろ架設された橋梁でしょうか、橋名、橋梁概要(橋長、形式詳細)などを教えてください
佐藤 国道173号の法塚橋という橋梁で、橋長60㍍、2径間連続RC床版鋼I桁橋に耐候性鋼材を使用していました。
法塚橋の損傷状況と対策後
――特殊な橋梁の補修補強について
佐藤 (主)大阪臨海線 助松橋は、橋長46㍍の2径間PC単純ポステンT桁橋のパイルベント式橋脚を有する橋梁です。
当該橋梁の耐震補強は、水平力分担構造及び橋台部の補強により、パイルベント式橋脚への地震時エネルギーを橋台部へ分散させることで、橋脚補強は行わずして現行道示を満足するものとなっております。
橋台の補強工法は、狭隘部でも施工可能なマイクロパイル工法による増し杭20本(L=36.5㍍、34.5㍍)を予定しております。
他にも池田管内の天王坂二之橋(鋼π型ラーメン、側径間との間にはゲルバーを有する)などの特殊橋がある