現実に即して社名を変更 平成34年度までに売上倍増目指す
ヤマダインフラテクノス 構造物総合補修補強会社への脱皮図る
ヤマダインフラテクノス株式会社
代表取締役社長
山田 博文 氏
ショットピーニング工法、現地における無機ジンクの採用も推進
床版補修にも技術を活かす
――ショットピーニング工法とは
山田 溶接部の疲労に伴う塑性変形を利用したショットピーニングによる疲労予防対策です。溶接継手を起点とする疲労亀裂に対する引張残留応力の低減と圧縮残留応力の付与により疲労亀裂の発生を抑制するもので、具体的には溶接部とその近傍を球形型の硬度と粒径を工夫した特殊なピーニングショット材により打設して(ピーニング)塑性変形させることで疲労寿命を向上させる手法です。当社は既設橋梁では施工が難しいとされていたピーニング工法の開発を進めており、実用化のめどが立ちました。基本的に循環式エコクリーンブラストと同様の機械を使う(ノズルのみ特殊ヘッドに交換)ため手間が要らず、下地処理(ブラスト)と同時に施工できるため、フレキシブルな対応が可能です。
耐候性鋼材橋梁で損傷した箇所のブラストも行っている(上下とも施工例)
――現地における無機ジンクリッチの採用について
山田 従来、既設鋼橋の塗装塗り替えについては下地に無機ジンクリッチを採用することができないとされていました。これは下地処理を工場施工の時ほど厳密にできないことや現場では(無機ジンクリッチを塗装するのに必要な50%以上の)湿度管理ができないとされていたからです。
しかし、実際の1種ケレンの現場では、ブルーシートや各種防炎シートで非常に厳密に覆っています。また、夏場の施工では湿度が非常に高い上に、(作業者の健康管理のために)ミストを噴霧するため非常に湿度が高くなります。即ち工場で管理するレベルの数値は達成することが可能であると考えております。そうしたことから既設鋼橋においても無機ジンクリッチ下地を採用できると考えました。同下地は現在の有機ジンクリッチに比べ1.5倍の防錆力があると言われています。我々はこれを積極的に広めて鋼橋の長寿命化に寄与したいと考えています。
――独自の取り組みとしては
山田 掛川管内の鋼橋塗装塗り替え工事に塗料がカタログ通りの性能を発揮しているか、作業性の確認、品質確認などを行うため、材料メーカーに立ち会いをお願いしてます。以前から塗料性能向上のフィードバックや、現場施工の効率化などを図りたいと考えて行いました。それを徐々にですが実現しています。
また、NEXCO3社や阪神高速道路、首都高速道路などでは、大規模更新・大規模修繕事業がこれから本格化していきますが、その大きな部分が床版の補修補強あるいは打ち替えと言われています。その際に断面修復や床版防水を行うに当たり、表面を平滑にするため床版表面の研掃工程が必要ですが、これはショットブラストが主に使われています。当社は同分野にもこれまでの技術を生かし、既存の機械を転用あるいは新しく導入する形で進出していこうと考えています。
――ありがとうございました