高浜立体は中央部の架設を完了
残る上部工は製作中
――次に都市間ネットワークの整備としての事業は
小川 一般国道419号の高浜立体の整備があります。国道419号上に信号交差点を介さない高架構造の新たな道路を建設することによって円滑な交通を確保し、南北方向の交通と知多地域と連結する東西交通を分離することで交差点にかかる負荷を軽減し、当該地域の渋滞を解消させることを目的にしています。実際に高浜立体が計画されている衣浦大橋東交差点は東西交通の日交通量49,000台、交差する南北交通は同33,000台もあり、大型車混入率も3割と高く、県下有数の渋滞箇所になっています。
高浜立体の整備イメージ(左)/高浜立体の概要図(右)
高浜立体の施工状況
そのため暫定2車線で高架化(887㍍、内訳は4径間連続鈑桁144㍍+5径間連続鋼床版箱桁386㍍+9径間連続少数鈑桁357㍍)する工事を進めています。防食はC-5系の重防食塗装を施しています。
現在は下部工19基のすべてが完了、上部工は桁形式に合わせて3分割して工事発注をしております。すでに衣浦東交差点部などを跨ぐ中央部4径間の架設が完了しました。引き続いて残る上部工を施工していきます(施工は瀧上工業および日本車両・瀧上工業JV)。
中央部(衣浦大橋東交差点部分)の架設は南から送り出し架設しました。ほかの上部工はトラッククレーン+ベントで施工します。残る上部工は今年度から製作に入った状況です。
――大型車交通荷重による疲労を考慮して、鋼床版の床版厚は設計時の12㍉から増厚していますか
小川 鋼床版の厚さを16㍉に変更しています。
新濃尾大橋(仮称)は下部工3基完成
橋梁形式は鋼5+4径間連続非合成箱桁
――次にスムーズな移動空間の提供について
小川 岐阜県と愛知県をつなぐ新たな交通軸として、県境の木曽川を渡河する新濃尾大橋(仮称)があります。交通混雑が著しい濃尾大橋の渋滞緩和を図るとともに、発生が危惧されている南海トラフ巨大地震に備えた広域的な防災ネットワークの形成からも重要な役割を担います。
新濃尾大橋完成予想パース(手前が新濃尾大橋)
新濃尾大橋概要図
現状は、下部工の施工が進んでいる
橋梁形式は、423㍍の鋼5径間連続非合成箱桁と336㍍の鋼4径間連続非合成箱桁からなります。床版形式は合成床版を採用しています。防食はC-5系の重防食塗装を予定しています。基礎形式はニューマチックケーソンを採用しています。地盤条件が悪く、深さは最大で40㍍におよびます。今後進めていくP1~P6は流水部の中にあり流速が速いため、より厳しい条件での施工となります。
現状は、下部工のP7~A2の施工が完了しています。現在は国土交通省に委託してA1を施工中です。上部工の架設は、陸上部はトラッククレーン+ベント、河川上は送り出しで施工する予定です。
――河川上に架かる橋梁ですから凍結防止剤も散布することになると思いますが、その配慮は
小川 木曽川に塩分を含んだ水を流さないように、橋面上の水は全て箱桁内に配置している排水管を経て陸上部に流すよう配慮しています。
――景観に配慮した調色は行いますか
小川 橋梁に採用する色はまだ決定していません。今後、一宮市さんなど近隣自治体と協議していく予定です。
――都市計画道路豊田則定線の矢作川に架かる高橋は
小川 現況2車線を4車線化する工事に伴い架替える予定です。豊田大橋の1本上流に架かる橋で、現橋は昭和30年代に架設され、車道幅員5.5㍍に張り出しで歩道橋がついている橋梁です。車道幅員が狭小であり、交通量も多く、交通混雑を招いていることから、全幅員23.8㍍の4車線の橋梁に架替えます。橋長223.6㍍の3径間連続鋼床版箱桁橋です。4車線化する工事は、現橋を通しながら、まず下流側に半断面(2車線分)を架設し、その後に交通を新橋に切り回し、Ⅰ期線として2車線で供用します。その後、現橋を取り壊し、残りの2車線分を架設する工程です。橋脚は、ニューマチックケーソンで全断面分を先行築造しています。
下部工の施工が完了した高橋
――現状は
小川 現橋の下流側に架設するⅠ期線の下部工が完了し、平成28年度の供用を目指し、今秋から、Ⅰ期線の上部工架設工事を行っています。
鉄道連立は計5箇所が進捗
――鉄道連立などの事業は
小川 限度額立体交差事業として4カ所で計画しています。
名鉄犬山線の布袋駅付近鉄道高架事業(延長1.8㌔、うち高架化延長は1.5㌔、踏切除却数6箇所)、名鉄尾西線苅安賀駅付近連続立体化(延長1.8㌔、高架化延長1.1㌔、踏切除却数3箇所)、名鉄本線清州駅連続立体化(清須市~稲沢市間3.4キロを高架化)などの事業が進んでいます。名鉄常滑線・河和線の立体化(合計延長1.3㌔、踏切除却数6箇所)はほぼ完了しています。
もう1つ、都市整備課が所管する事業として、名鉄知立駅付近の連続立体事業(高架延長4.26㌔、踏切除却数10箇所)も半ばまで進んでいます。
――設計済あるいは設計中の橋梁は
小川 一般国道301号の滝川高架橋(仮称)について、詳細設計中です。
TTCの事業が本格化
日本初の林間テストコース
――他、特色ある事業は
小川 TTC(トヨタテストコース)があります。愛知県企業庁が豊田市と岡崎市に跨がる650㌶超の面積に建設しているサーキット型および林間型の2つのテストコースからなる自動車産業用の開発施設で、トヨタ自動車が立地する予定です。特色は林間コースの開発施設を日本で初めて造成していることです。サーキットコースは鈴鹿や富士などがありますが、林間を想定したオフロードコースは国内にはなく、トヨタなど国内の自動車製造会社は、わざわざドイツまで行って開発していたようです。それを国内に初開設しようというものです。
――工事の進捗状況は
小川 全盛期で、平成30年度には一部の施設をオープンする予定です。全施設の完成供用は平成37年を予定しています。
――道路建設課としてのかかわりは
小川 国道301号から同施設に向かうバイパスを建設しています。橋梁を4橋、トンネルを1箇所予定しています。
もう1つは国が進める設楽ダムの工事本格化に伴い、付け替え道路も予定しています。ここでも橋梁を建設する予定です。
――ありがとうございました