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「第3次あいち地震対策アクションプラン」で耐震補強も進める

愛知県 4373橋、60本を管理 長寿命化修繕着々

愛知県
建設部 道路維持課長

山田 哲夫

公開日:2015.11.20

「愛知県吹付法面定期点検要領(案)」を策定
 該当する140箇所(うち山間地域は100弱)について集中的に対策

 ――道路に面する斜面や古い法面などの補強・補修に係る具体的事例や計画について
 山田 他県と同じ悩みを抱えています。まず吹付け法面から申し上げますと、従来は施工性が良く凹凸のある法面でも施工可能であることから、簡易な法面保護工として、モルタル吹付け工が多用されてきました。しかし、施工後数十年が経過した吹付け法面の中には老朽化が進んでいるものがあり、背面の土砂とともに崩落事故が発生する状況にあります。
 安全な道路環境の確保を図るため、平成26年3月に「愛知県吹付法面定期点検要領(案)」を策定し、県独自の自主点検として、緊急輸送道路を優先して25年度から箇所調査、26年度から定期点検をそれぞれ実施しています。
 また、当県では、27年3月に公共施設等の総合的かつ計画的な管理を推進するための「愛知県公共施設等総合管理計画」、個別施設計画である「道路構造物長寿命化計画」を策定しました。道路構造物長寿命化計画の対象は法定点検7構造物と自主点検7構造物(下表)であり、平成31年度までに14構造物の長寿命化計画の策定を完了させる方針です。合わせて27~31年度を「道路構造物の集中治療5箇年」と位置付け、健全性の診断区分が「Ⅲ」と判定され対応が急がれる構造物について緊急集中修繕を完了させて、早期に予防保全への転換を図っていきたいと考えています。吹付け法面も対象の一つです。
 落石など危険個所の対策については、平成8年度に実施した道路防災総点検において、県が管理する国道・県道に落石危険箇所3,253箇所、このうち緊急輸送道路に1,084箇所を確認しています。風水害や地震の備えとして、緊急輸送道路や危険度の高い箇所を優先して、落石防止ネットなど法面対策を実施していますが、26年度末の対策残は全体で約2,600箇所、このうち緊急輸送道路に約600箇所あり、これらは中山間地域に集中しています。


「第3次あいち地震対策アクションプラン」では、山間地域の孤立を回避するため、広域的な緊急輸送道路から、地域の防災拠点になる市町村役場・支所に至る道路について、震災時に最低限1ルートを確保できるように、該当する140箇所(うち山間地域は100弱)について集中的に対策を進めていきます。
 また、対策未実施の危険箇所全てについて、2年に1回の点検により継続的に監視し、法面などに変化が見られた場合には、年1回に点検期間を短縮し、監視を強化するほか、変化量が大きく危険性が高い場合には早急に対策を講じる方針です。
 ――新技術・新工法の採用は
 山田 橋梁の耐震補強を早期に実施していくためにコスト縮減の必要性を感じています。
 河川橋梁の橋脚補強に際しては、河道内の工事は非出水期(10月~5月)に限定され、出水期までに仮設構造物を撤去する必要があります。現在はLIBRA工法など新技術を積極的に採用していますが、更なる新技術が開発され、一層の施工効率向上とコスト縮減効果の発現を期待しています。
 また、今後、継続的な実施が必要となる長寿命化・予防保全における点検技術、補修技術におきましてもドローン技術を活用した機械計測技術の開発・普及や、補修工法の省力化、体系化が図られていくことを期待しています。
 ――ありがとうございました

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