道路構造物ジャーナルNET

中期的には売上300億を達成し、東証一部上場を狙う

エスイー 耐震デバイスをさらに拡大、ESCONも展開図る

株式会社エスイー
代表取締役社長 執行役員社長 COO

大津 哲夫

公開日:2015.10.23

 エスイーの新社長に大津哲夫氏が就任した。大津氏は副社長などを歴任、長年にわたって森元峯夫会長を支えてきた名補佐役で、満を持した形の登板だ。経営にあたる抱負、中期的な目標などについて詳しく聞いた。(井手迫瑞樹)

信賞必罰で臨む
 石橋湛山的な考えを敷衍 

 ――大津社長とは、4年前でしたかエスイーリペアの社長として博多の都ホテルでご一緒してお話しした時の印象が強いんですよ。特に石橋湛山(東洋経済新報主幹、後に首相。金解禁反対や植民地拡大に数字を示して反対する小日本主義を唱えた。戦時中にも説を曲げず、清沢冽などオールドリベラリストにも発表の場を与えた硬骨のジャーナリスト)が好きという印象が
 大津社長 石橋湛山の漸進的かつ、合理的な論拠に立つ姿勢が好きでしてね。感情で物事を決めない姿勢が好きです。金解禁論争しかり、対外問題への論説しかり、感情的に獲得した領土に固執するのではなく、諸外国と仲良くして貿易で儲けましょうという姿勢、それを冷静に数字で指摘するやり方がとても好きでした。
 ――社長就任の抱負は。石橋湛山の有名な言葉でGood pay is Good workという言葉(良く支払えば良く働く:意訳)がありますが
 大津 そうですね。私はその言葉を「信賞必罰」と解しています。良く働き、数字を出す従業員には相応に報う。そうした姿勢で社長として臨みます。無論、業務によっては中期的な課題もあるわけで、そうした業務には別の物差しで臨みます。
 ――森元会長との業務分担はどのようになっていくのですか
 大津 基本的には従来と変わりませんが、会長がグループ全体の戦略的判断。私が主にエスイー本体を中心とした業務の遂行を担っていくということになります。
 今年度の当社の目標は売上205億円、経常利益11億円を目指していますが、これを中期的には売上300億円に拡大させるよう努め、東証一部上場を目指します。

周辺事業を拡大することで目標達成図る

 ――それはどのようにして達成させるのですか
 大津 新設橋梁は、今後拡大を望むことは難しいと考えています。特に当社が得意とするPC構造のマーケットは最盛期の6,000億円程度から2,000億円程度と3分の1近くに低下しています。同様にグラウンドアンカーもピークの3分の1近くに低下しています。その中で売り上げを落とさずに当社が成長しているのは周辺の様々な分野を開拓しているからです。それを継続して広げていきたいと考えています。
 ――具体的には
 大津 2009年から継続して行っているM&Aによるシナジーの更なる発揮。超高強度繊維補強コンクリート「ESCON」の展開などが挙げられます。「ESCON」は取り合えずロックボルト用のフレームやグランドアンカー用の受圧板の販売を開始しましたが、今後順次各種のプレキャスト製品を発売していく予定です。


ESCON受圧板 スクエアタイプ

 従来から実績を有する補強用外ケーブルや落橋防止システムの更なる拡販に加え、移動制限装置や制震ダンパー、アンボンドブレース(新日鉄住金製)、鋼製ブラケットなど耐震補強デバイス全体に製品の種類を拡大させ、伸ばしていきたいと考えています。


SEダンパー(左)/補強用外ケーブル(右)

PCケーブル横締補強(左)/落橋防止+移動制限装置+ブラケット(右)

 先だってエスイーリペア、エスイー鉄建、森田工産などを子会社化しました。エスイーリペアは保全工事、他2社は鋼製部材の製作を行っています。当社は元々、設計も含めたエンジニアリング会社として発展してきました。川上から川下まで保全分野を網羅することで、発注者や元請などのユーザーにより良い構造物補強・耐震補強デバイスを提供していきたいと考えています。

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