緩衝材を挟むことで性能を向上
HiPer CF工法 シート量を減らすことでコストを約3割削減
清水建設株式会社
土木技術本部 基盤技術部 コンクリートグループ
副部長 グループ長
前田 敏也 氏
実績は40件6万平方㍍弱
――実績は
前田 道路橋の床版や塩害などにより損傷した桟橋の床版の補強および補修で、2002年の初施工以来、約20件ずつ約40件6万平方㍍弱(下地面積)の実績があります。
施工中のHiPer CF工法
――施工手順は
前田 まずコンクリートの下地処理を行います。この段階でひび割れや段差、欠損などの損傷がある場合は補修を行います。その次にプライマーを塗布し、不陸が大きい場合は不陸修正を行い、緩衝材を塗布し、含浸工および炭素繊維シート貼り付けを行い、最後にアクリルウレタン樹脂によるトップコートを行い完成というものです。
HiPer CF工法の概要図
HiPer CF工法の施工手順
――施工管理体制と施工上特に注意すべき点は
前田 HiPer CF工法の設計施工マニュアルを作成しており、施工方法や管理手法は全てそのマニュアルの中に記載しています。施工会社はそのマニュアルに基づいて施工していただけます。緩衝材を除けば通常の炭素繊維シート工法と変わりません。緩衝材も現場において施工性が劣るということはありません。
――工程は
前田 プライマー、不陸修正、緩衝材、シート貼り付け工、トップコート工で各1日ずつ、5日ほどで全工程を施工できます。
――HiPer CF工法の施工会社は
前田 施工業社が24社、幹事会員が4社(清水建設、東邦アーステック、東レACE、コニシ)です。
HiPer CF工法プロジェクトを立ち上げ営業強化
――今後の展開は
前田 平成12年に開発された当工法ですが、ここ数年はあまり活動ができていませんでした。しかし、昨年からコニシさんが業界の展示会などでHiPer CF工法の周知を行った結果、相当な引き合いを頂き、ニーズがかなりあるとの感触を得ました。その結果、今年度から再び、幹事会社4社を中心に「HiPer CF工法プロジェクト」を立ち上げ、営業を強化していこうとしています。
清水氏(東レACE) 当社の親会社である東レは、炭素繊維原糸のメーカーですが、ここ数年来は土木建築用途向けに自社ブランドのシート(トレカクロス)も積極的に販売するようになっています。当社はその販売代理店としてHiPer CF工法の更なる拡大に向け、微力ながら関係各社様のお役にたてるよう、努めてまいります。
高山 橋梁耐震化が一段落し、これからは老朽化対策が急務となります。また、日本の橋梁は2026年に約半数が供用後50年に達し、架け替えか延命化を迫られる時代に入ります。HiPer CF工法はコストが安く、工期も短縮できるうえ、長寿命化工法としても時代に貢献できる工法と考えています。
――ありがとうございました