30年以上経過橋梁が7割超
コンクリートのひび割れ、端部からの漏水による損傷が主
――次に保全について橋梁内訳から
井田 平成26年度末で858橋あり、そのうち緊急輸送道路上に位置する橋梁、跨線・跨道橋、緊急輸送道路上以外の道路に位置する15㍍以上の橋梁を重要橋梁と位置づけており、その数は441橋に達します。供用年次別では30年以内が243橋(29%)、31~40年が210橋(24%)、41年~50年が232橋(27%)、51年以上が173橋(20%)という内訳になっています。供用後30年以上を経過した橋梁が7割を超えています。
――橋種別比率は
井田 PC橋が372橋(43%)、鋼橋が215橋(25%)、RC橋が255橋(30%)、その他、複合橋その他が16橋となっています。
――橋長別比率は
井田 15㍍未満が417橋(49%)、15㍍以上100㍍未満が398橋(46%)、100㍍以上が43橋(5%)となっています。
――劣化傾向は
井田 平成25年度までは、近接および遠望目視で点検し、26年度からは新しい基準に基づき全て近接目視により点検しています。26年度は新しい基準で49橋点検完了しました。傾向としては、床版や橋脚、地覆、RC桁などでコンクリート部材のひび割れ、剥落等の損傷や鋼桁部では伸縮装置などからの漏水による、桁端部や支承の腐食などが多くなっています。
床版のひび割れ、遊離石灰(いずれも明徳橋)
ハンチ部のコンクリートはく離
27年度対策橋は約70橋
――橋梁長寿命化修繕計画の進捗は
井田 21年度に計画を策定し、22年度から補修工事を実施しています。その後点検結果を踏まえて、26年度に見直しを行いました。今年度から見直し後の計画で補修工事を実施しています。床版や地覆のコンクリート部分のひび割れ・剥落に対して、ひび割れ補修、断面修復、表面保護、剥落防止などを実施しています。また、舗装伸縮の交換、塗装の塗り替えなどを行っていきます。見直しは今後も5年ごとに行っていきます。
――27年度の対策橋梁は
井田 70橋程施工します(主な橋は万場大橋、鼎小橋、明徳橋、新東福橋、南陽大橋、柳瀬橋、天白橋、道徳橋、延珠橋)。今後も毎年15億円程度かけて補修補強工事を行っていきます。
耐震補強は第二期整備が進捗
10年間で32橋を対策、26年度末で3橋が完了
――耐震補強の進捗状況は
井田 平成7年に発生した兵庫県南部地震を受けて実施した第一期整備は56橋全てで完了しました。
現在は平成24年度から第二期整備を進めています。対象橋は①橋長15㍍以上の緊急輸送道路上に位置する橋梁、②平成8年道示より古い基準を適用している橋梁、③多径間の橋梁で第一期整備において橋脚補強を行っていない橋梁――に該当する32橋について平成14年道示の基準に則って落防装置の設置および橋脚補強を実施します。これらを10年間かけて行っていきます。26年度末までに13橋実施し、3橋完了しています。
――補強方法は
井田 様々です。条件がそれほど厳しくない個所ではRC巻き立て、河積阻害率を考慮しなくてはいけない個所では鋼板巻き立て、ポリマーセメントモルタル(PCM)、1非出水期での施工が求められる河川内橋脚補強にPCコンファインド工法などを採用する予定です。
橋脚のポリマーセメントモルタルによる耐震補強
PCコンファインド工法による橋脚耐震補強①(左が施工中、右が完了状況)
新前田橋は河川内橋脚の補強にPCコンファインド工法を採用した
鋼板接着による橋脚耐震補強(矢田川橋)
――今年度は
井田 新たに9件ほど工事を実施する予定です。(日の出橋(2基)、矢田川橋(1基)、明徳橋(2基)、千代田橋(2基)、庄内川橋(3基)、宮前橋(1基)、紀左ヱ門橋(13基)、香流橋(1基)、長須賀橋(2基)、)