中川橋現橋を活用 現在は下部工を施工中
北側に拡幅部として単純非合成箱桁を新設
――中川橋は
井田 昭和5年に中川運河を開削した当時に架けられた下路式のブレースドリブタイドアーチ形式の橋梁です。土木学会の歴史的鋼橋にも選定されています。本橋を名古屋のシンボル的な橋として残すべく、現在の下路式アーチを補修した上で再利用する計画です。
中川橋(上部のアーチ橋が昭和5年につくられた歴史的名橋)
アーチ桁拡大写真
建設当時の中川橋
――中川橋の現状と工程は
井田 平成24年度に迂回路となる仮橋を施工して交通を切り替えました。25年度に移設用の仮桟橋を作り、アーチ桁をジャッキアップして約37㍍横取りして引き込み仮置きしました。現在は下部工を新たに造り直しています。今後はアーチ桁を再架設しますが、車線を増やすため、北側に新しく単純非合成箱桁を設置します。同部分は耐候性鋼材を用います。
――アーチ桁および鋼床版の健全度は
井田 平成25年度に調査を行いました。主構造となるアーチ桁部は、水はけが悪い部分なので、腐食などが認められましたが、大半についてはブラスト処理で対応できる状態で、当て板補修まで必要な部分は限られており、良好な状態を維持しているととらえています。
一方、鋼床版部は非破壊検査を行った結果、疲労き裂が一定割合認められました。そのため鋼床版については全面的に取り替えるよう計画しています。
――大型車混入率も高く、床版には厳しい路線ですが、鋼床版について製作方法や耐久性向上策など、工夫している点があればお答えください
井田 取り替えする床版は、取り換え前と同じく鋼床版とし、縦リブは閉断面リブから開断面リブに変更することにしました。開断面リブとすることで、閉断面リブで多く発生する溶接ルート部からデッキプレートへ進展する疲労き裂が無くなるなど、疲労耐久性や維持管理性の向上を図ることができると考えています。
――歴史的価値を考慮し、リベット部で交換が必要な個所についてはどのように施工しますか
井田 同様にリベットで施工することも検討の余地があります。歴史的な構造物であることから、現橋については景観を壊さないようにしたいと考えています。
三階橋 桁架設を完了
――三階橋の架け替えは
井田 現橋は片側1車線道路に都市計画道路東志賀町線と上飯田線という片側2車線の幹線道路が合流する構造である上、三階橋の前後には5個所の信号があり、慢性的な渋滞を引き起こしています。その解消のため、一期線(完成時は南行き3車線、3径間連続鋼床版鈑桁)、二期線(北行き2車線、3径間連続鋼床版鈑桁)、渡河部のランプ橋(上飯田線北行き1車線、3径間連続鋼床版鈑桁)の3橋構造に架け替えます。また上飯田のランプ橋(4径間連続の鋼鈑桁(RC床版))は今後施工します。その結果、信号は4個所減少し、円滑な交通が期待できます。
平成23年に一期線を供用しており、現在は二期線および渡河部のランプ橋の桁架設を完了しました。
3橋は、それぞれ平面位置でいいますと一期線が上流側、二期線が下流側、ランプ部がその中間に位置しています。一期線は南行き、二期線及びランプ橋は北行きの車線を担います。ランプ橋の役割を説明します。元々、三階橋の南側袂において2本の道路が交差点で合流しております。また、合流交差点の南側には、その2本の道路を渡す道路があり、合わせて3か所の信号交差点があります。これに対し、本事業において、上飯田方面から北上する道路を二期線と分離してランプ橋として築造することにより、立体交差化される2か所の交差点において信号を無くすことが可能になり、スムーズな交通を実現するものです。
水分橋も架替え
橋梁形式は鋼橋を軸に検討
――水分橋は
井田 三階橋の北にある橋ですが、現在は橋梁に取り付く道路も含め事業の準備を進めている状況です。現橋は昭和18年に供用された橋長203㍍のRC桁で、幅員も狭く、河積阻害率も高いことから、架替え時は幅員を広げつつ、橋脚の数を減らす方針です。構造形式は鋼橋を計画しています。
――新設橋のコスト縮減策は
井田 積極的に耐候性鋼材を採用しています。但し都市部ですので景観に配慮し、耳桁の塗装をする予定です。