名古屋市の都市計画道路網は幹線街路で208路線、延長843.8㌔であり、うち9割が整備済みだ。橋梁は全部で858橋を管理しており、4橋の新設・改築工事を進めている。30年を超える橋梁は7割を超え、長寿命化への適切な対応は必須だ。架替、長寿命化の話題を中心に井田宏正道路建設課長に聞いた。(井手迫瑞樹)
――市域の地勢的特徴と道路網の現状は
井田課長 市域面積は約326平方㌔で、東部の丘陵地、中央部の洪積台地、北、西、南部の沖積平野の3つに大きく分かれます。東高西低の地勢ですがおおむね平坦です。東部の丘陵地は東山公園などのほか樹林が多く存在していますが、宅地開発などにより市街化も進んでいます。中央部の洪積台地は、名古屋城から南へ熱田神宮あたりまで堀川が西に沿って流れており、この辺りは古くからの市街地が形成されてきました。北西、南部の沖積平野は庄内川を軸に平坦な低地が広がっています。
都市計画道路網は幹線街路で208路線、延長843.8㌔です。整備率は政令指定都市中、札幌市についで高く、約9割が整備済みです。今後の道路整備は未だミッシングリンクとなっている個所など整備効果の高い道路の整備を着実に進めていきます。
正江橋 橋長は339.3㍍、基礎杭は26㍍
現在は渡河部の下部工、右岸側アプローチの上部工を施工
――新設・改築橋梁の予定は
井田 4橋の工事が進んでいます。
まず、都市計画道路万場藤前線の中川区内、新川にかかる正江橋(仮称)の工事に平成23年度に着手しました。事業延長は680㍍で、橋梁部は339.3 ㍍を占めます。地盤は沖積層のため基礎が深く、橋台部で31㍍、橋脚部で26㍍の既成杭(SC+PHC杭)を採用しています。渡河部は非合成鈑桁、両側アプローチは現場打ちのPC中空床版橋の予定です。幅員は18.8㍍(河川部)~30.8㍍(平面部)となっています。渡河部、アプローチ部とも本線の幅員は同じですが、平面部の側道の幅を足している関係で幅広になっています。
床版形式はRC床版です。防食手法は耐候性鋼材を採用しています。
下部工の形式は逆T式橋台とT型橋脚でそれぞれ高さは11.3㍍と13.5㍍です。
右岸側の取り付け道路から工事を進めており、現在は渡河部の下部工と、右岸側アプローチ部の上部工を主に施工しています。左岸部は準備工を施工中です。
正江橋の現況
また、渋滞対策および緊急輸送道路上の橋梁耐震改築として都市計画道路東志賀町線の三階橋が進捗中です。北区と守山区の境界において矢田川を渡河する橋梁です。
昭和5年の中川運河開削時に同時供用した緊急輸送道路上の橋梁である運河橋、中川橋の耐震改築橋梁として工事を進めています。基礎地盤は深く、運河橋は場所打ち杭、中川橋は鋼管矢板井筒基礎です。
計画中の橋梁としては、三階橋の北に位置し渋滞対策および緊急輸送道路上の橋梁耐震改築として、都市計画道路東志賀町線の水分橋があります。現橋は昭和18年に供用された橋長約203㍍のRC桁橋で、幅員狭小かつ河積阻害率が高いことから、車線を増やすと同時にスパンを飛ばすことで橋脚数も減らす方針です。
三階橋
運河橋 3期に分割して施工
耐候性鋼材を採用
――運河橋は
井田 主要地方道愛知名駅南線の中川運河渡河部で架け替えを進めている橋梁です。現橋は昭和6年供用であり、橋梁耐震改築として、橋長38.4㍍、幅員32.73㍍の単純鋼床版鈑桁橋に架け替えるものです。
工事は平成23年度から着工しています。道路自体が名古屋駅に近く、名古屋市を東西に結ぶ非常に重要な幹線です。ただし、周りに建物が多く仮橋を架けるにも非常に制約があります。そのため、橋を横断的に3期に分割して施工します。現在は、仮橋を現橋の南側に組み、道路全体を南側に迂回させて、北側3分の1の新橋をⅠ期施工(現在は下部工を施工中)として構築しています。今後はⅡ期(中間部、道路は南北に迂回)、Ⅲ期(南側、道路は北側に迂回)を順次施工していきます。迂回路は、東行き2車線、西行き3車線として、交通への影響を最小限に抑制しています。
鋼材は耐候性鋼材を採用する予定です。
運河橋(中央部)