放水路と車両基地を跨ぐ妙典橋
桁は台船で輸送し、潮の干満を利用して架設
――次に妙典橋について
永田 一般県道船橋行徳線の江戸川放水路付近に建設中の渡河橋です。同路線は船橋市と外環を繋ぎ、さらに浦安方面までを結ぶ路線です。そのうち市川市の高谷~妙典間1.3㌔の区間についてバイパス道路を建設しているもので、妙典橋の建設もその一環です。
妙典橋概要図
妙典橋は橋長622.5㍍で、右岸側の陸上部が3径間連続鈑桁、渡河部が6径間連続鋼床版箱桁となっています。江戸川放水路を跨ぐということと、右岸側にある東京メトロの車両基地を跨ぐということで、橋梁の支間長を長く(河川部は88~86.5、車両基地上は98.75㍍)しています。また、江戸川放水路はトビハゼの生息北限地と言われておりまして、河川側でも河川の中に布団籠のようなトビハゼの生息を援けるための護岸整備を行っています。
架設ステップ① 台線架設(P6~P7)
架設ステップ② 送り出し架設(P4~P6)
架設ステップ④ 送り出し架設(P7~A2)(上)/架設ステップ③ 送り出し架設(P3~P4)(下)
そのトビハゼの生態になるべく影響を及ぼさないため、通常であれば堤防から桟橋などを伸ばして施工していくわけですが、妙典橋については、(上下部、基礎かかわらず)川を輸送路として全て海から部材を運んできて製作する方法を採っています。下部工は全て海から輸送し、(施工個所付近に)桟橋を作って基礎や橋脚の鉄筋組みをしました。但し打設用の生コンだけは岸壁からブリッジで飛ばして施工しています。上部工は、まず比較的水深があるP6~P7間について桁を工場で全部組み立てまして、長さ約100㍍、重さ約650㌧の橋桁を3,000㌧級台船に積み、架設地まで運びました。浦賀の船上には係留設備として油圧ウインチおよび発動発電機を設置し、ジャッキアップ設備として、デッキリフトおよびジャッキングホイストによる吊り上げ設備を設置しました。
(左)桁下を通過する台船/(右)現地でのジャッキダウン作業
――架橋地の下流には国道357号とJR京葉線の橋梁がありますが
永田 桁下のクリアランスが狭いところで50㌢程度であったため干潮時を狙い慎重に通過し、満潮時を見計らって架設予定地に近づき橋脚上に桁を位置取りし、干潮と合わせてジャッキダウンすることで桁を橋脚上に架設しました。
他の桁については、P6~P7間の桁上を作業場にして桁の組立を行い、両側に順次送り出し架設していく手法をとっています。
P6~P7間の桁上を作業場にして桁の組立を行い、両側に順次送り出し架設していく
現状は、まず右岸側2スパン、堤防まで届く部分の工事が完了しています。左岸側の河川内とメトロの車両基地を超える箇所の桁架設については、工場製作を進めている状況です。河川管理者からは11月以降の非出水期の架設を要請されておりまして、その時期から架設を始める予定です。
行徳車両基地直上に架ける(左)/実際に行徳車両基地上に架かった架設桁(2016年2月23日追加)
――車両基地の直上はどのような架設方法を採りますか
永田 手延べ桁による送り出し架設です。車両基地に車両の少ない昼間に架設を行います。
――橋の色がとても特徴的ですね
永田 市川市は景観条例を策定しておりまして、周りの景観に馴染む色として青紫系の淡彩色を採用しています。
堰の改築に併せて行徳橋を架替え
橋長402㍍の細幅箱桁+合成床版
――次に行徳橋の架替えについて
永田 行徳橋は主要地方道市川浦安線の江戸川放水路渡河部に架かる橋梁ですが、昭和31年に供用され60年弱が経過しており老朽化が進んでいます。それに伴い橋梁修繕および耐震補強工事も検討しましたが、国が管理する行徳可動堰と一体構造物であることから、堰の改築に併せて、上流側に架替えることで当県と国が協定を締結し、整備を進めています。
計画中の橋梁(数字は概数)
具体的には、現橋は堰の下流側に位置していますが、これを上流側に架けなおします。現道を使いながら堰を改修し、その上流に新橋を建設して、改修および新橋の建設が完了した後、現橋を撤去するという段取りです。
実際の橋梁新設工事は県から国に委託しまして、江戸川河川事務所が工事しています。(橋梁位置がずれることによって生じる)取り付け道路の整備と旧橋撤去を県が担当します。
行徳橋の概要
――特徴は
永田 新橋は現橋に比べて、幅員を大きく増やしました(現橋7.45㍍→12.5㍍)。また、堰の管理用道路としての性格も有しているため、歩道部幅員を現橋の1.5㍍から4㍍に拡大しています。上部工形式は現橋の鈑桁から新橋は鋼細幅箱桁(2箱)+合成床版という構造にしています。新橋の橋長は402.4㍍です。
――進捗状況は
永田 平成27年度は橋梁の下部工、用地取得を実施する予定です。
渡河部は450㍍、取付部は470㍍
三郷流山橋 鋼橋形式が有力
――設計中、設計済みで工事未着手の橋梁で特徴あるものは
永田 主要地方道越谷流山線内の千葉・埼玉両県境の江戸川渡河部に予定されている(仮称)三郷流山橋があります。同線はつくばエクスプレス沿線開発に伴う道路ネットワークの強化と流山橋を中心とする交通渋滞の緩和を目的に、埼玉・千葉・茨城の市街地等を相互に連絡する都市軸道路の一部として整備を進めているもので、同橋はその江戸川渡河部に建設を予定されています。
同橋は渡河部が約450㍍の橋梁で、千葉県側取付区間については830㍍の延長がありますがそのうち約470㍍で高架形式を採用します。渡河部の橋梁は千葉県と埼玉県の共同事業です。
(仮称)三郷流山橋の概要(数字は概数)
――渡河部橋梁の実際の施工担当は
永田 千葉県は左岸側の橋台と橋脚1基を担当します。残りの橋脚と上部工以降は埼玉県が担当します。
――基礎工の採用予定工法は
永田 河川部は鋼管矢板井筒、場所打ち杭、取付部は場所打杭で施工する予定です。元々田園地帯のため、杭長は、渡河部で30~40㍍、取付部で20~40㍍に達すると想定しています。
――上部工は
永田 詳細設計は今後ですが、地盤への影響やスパンを飛ばすことを考えると鋼橋形式を採用する可能性が高いですね。
実入BPで700㍍弱のトンネル工事を発注
――新設トンネルを伴う事業は
永田 国道128号の実入バイパスがあります。現道は線形が悪い上に狭く、昭和37年供用のトンネルも老朽化しています。また、10年ほど前には法面崩落により長期間通行止めになりました。
そのため線形の改良および拡幅、トンネルの老朽化対策として新トンネル(延長683㍍、内空断面54平方㍍)を含むバイパスを整備します。トンネル工事は今年度発注する予定です。
国道128号実入BP事業概要
今年度着工予定、計画中のトンネル一覧(計画中のトンネルの数字は概数)