ベッドタウン的な性格を有する県西部
トンネル数は北海道と並んで全国2位
千葉県は房総半島を県域とし、西部は東京都のベッドタウンとしての性格も有している。海、河川に囲まれた県であり、高い山地はないものの南部は丘陵地帯であることからトンネルも多い。最近では圏央道の開通も進んでおり、ますます発展しつつある千葉県の道路整備、道路保全事業について、永田健県土整備部長に聞いた。(井手迫瑞樹)
――まず県内の地勢的特徴から
永田部長 千葉県は、房総半島を県域としており、太平洋、東京湾、江戸川、利根川と周りを全て水で囲まれているという特徴があります。県北の北総台地と九十九里沿岸は平野で、南側は房総丘陵となっています。丘陵といっても標高は低く、最高点の愛宕山でも海抜408㍍の高さにしかなりません。ちなみに県の平均標高は43㍍です。全国で一番低地に位置する県といって良いと思います。但し、房総丘陵は丘や川が結構入り組んでおり、国、県、市町村道を合わせてトンネル箇所数は435箇所に及びます。この数字は全国2位に相当します(北海道と同数、一位は大分県)。
千葉県西部は東京のベッドタウン的な性格を有します。東京湾沿岸部には各種製造業も発達し、交通量も増加してきたことから、古くは京葉道路が当時の日本道路公団(JH)の手により建設されて(初開通区間は昭和35年)きました加えて53年には成田空港が開港しました。そのアクセスを良くするため、東関東道が建設、供用されました。このように都心を中心にして放射状に位置する高速道路から整備されています。こうして県北や東京近郊地の高速網の整備は進んだものの、外房や南部は不便な状態が続いていました。
それが変わったのは、平成9年のアクアラインの開通によってです。これによって首都圏を南回りで迂回する環状道路ができたことにより、外房や南部も便利になりました。現在の料金は800円で、1日平均の交通量は42,500台に達しており、多くの皆様方が南房総を訪れる導線になっています。
圏央道の整備も進んでいます。6月7日に神崎~大栄間が新たに開通したことにより、県内の圏央道は76㌔が完成しました。県内の圏央道は大栄~松尾横芝間の18.5㌔を残していますが、同区間は国の方で現在用地買収中です。また、千葉県内の一部区間以外では圏央道が暫定2車線で整備されています。そうした個所は安全性や走行性の観点でどうしても弱点となりますから圏央道の全通と同時に暫定2車線区間の4車線化について国とNEXCOに要望しています。また、アクアラインから南房総へは館山道が伸びていますが、これも午前中に南房総に行った車が帰りに混雑することが多いため、木更津南JCT~富津竹岡IC間20.7㌔について4車線化工事に着手しました(NEXCO東日本)。また、外環道も平成29年度の供用を目指し、NEXCO東日本と国が建設を進めています。
県としましては、そうした高速道路にアクセスする道路の建設を今後進めていきます。具体的には国道410号、同297号、国道409号長生グリーンライン(茂原一宮道路)、国道126号銚子連絡道路、国道356号などです。圏央道ができたことによりその近傍は非常に交通の便が良くなりましたが、その開通効果を銚子や外房など離れた場所に波及させることが県の重要課題となっています。
また、都心と空港を結ぶ道路の利便性向上と冗長性を確保するため、国道464号北千葉道路の建設も進めています。千葉ニュータウンの中は掘割も含めて供用していますが、その東側の区間、これを国と県で分担して事業を進めています。(ニュータウンの)西側の外環から市川鎌ヶ谷間について国(首都国道事務所)が直轄調査に入ったところです。
北千葉道路 印旛沼渡河橋