管内橋梁は602橋、15㍍以下が52%
コンクリート橋が8割弱を占める
――次に保全について橋梁とトンネルの現況から
栁田 佐賀国道事務所が所管する道路延長は234.5㌔に達しますが、構造物は橋梁が10.4%、トンネルが2.0%で、あとは土構造です。国道34号が最も多く、橋梁数は289橋、橋梁延長は9.7㌔です。トンネルは12箇所で35号、203号が各4箇所、西九州道(497号)が3箇所、202号が1箇所で、全体延長は4.7㌔です。
また、平成26年度に佐賀県メンテナンス会議を立ち上げており、佐賀県やNEXCO、県下20市町の自治体とともに、県内の橋梁やトンネルの点検から診断、設計、補修までのメンテナンスの取り組みを推進します。この取り組みを軌道に乗せることも、当事務所の重要な役割となっています。
(左)橋種別内訳/(中)コンクリート橋の桁種類別内訳/(右)鋼橋の橋種別内訳
(左)鋼橋の延長別数量/(中)橋梁の経過年数/(右)鋼橋の橋種別内訳
――橋梁についてもう少し詳しく
栁田 当事務所の橋長2㍍以上の橋梁は602橋あり、そのうち10㍍以下の橋梁は262橋、30㍍以下の橋梁は184橋と、30㍍以下の橋梁が約75%を占めます。その一方で101㍍以上の橋梁も55橋と1割弱あります。橋種別ではコンクリート橋が469橋(うちPCが296橋、RCが165橋、PC・RC複合橋が4PC・鋼の複合橋が4橋、桁形式的にはT桁208橋、床版橋250橋、箱桁6橋、I桁橋1橋、アーチ橋2橋、ラーメン2橋)とコンクリート橋の割合が8割弱に達します。次いで鋼橋が130橋、石橋が3橋となっています。供用経過年数では50年以上を経過した橋梁は平成27年4月1日現在で192橋(32%)に達していますが、20年後には50年経過橋梁は01橋53%と過半に達し、20年後には400橋弱と3分の2近くに達します。
現在、(平成16年度の定期点検開始以来)3巡目の点検に入っており、平成26年度は126橋で点検を実施しました。今年度は95橋で点検を実施する予定です。
――トンネルについては
栁田 トンネルは12箇所あり、工種は在来工法が4箇所(いずれも国道35号)、NATM工法が8箇所本となっています。供用年次は在来工法の4箇所が1969~1971年に完成しています。他のトンネルは1箇所が90年代、残りが2000年代以降と比較的新しいものです。
トンネルの現状
C判定は主桁の割合が比較的高い
やはり端部に損傷が集中
――構造物の損傷状況は
栁田 平成27年4月1日現在の診断では132橋(22%)で速やかに補修などを実施する必要があります。当事務所の橋梁は供用年数30年以上を経過している橋梁が66%に達しており、損傷発見件数は増加傾向にあります。
健全度判定表
C1判定の要因
C2判定の要因
H26の点検結果でみるとC判定の割合は橋種別で変わるということはなく、ほぼ同じ比率となっています。また、部位別では桁等の主要部材でC判定の割合が高くなっています。(C1判定(予防保全)で全体の約37%、C2判定(構造安定性)で3%)。次いでC1が下部工、床版、支承、C2が伸縮装置、床版、支承の順になっています。損傷内容は、鋼橋が主に腐食、コンクリート橋がひび割れで損傷は端部に集中する傾向にあります。
国道203号 要左衛門橋(PC橋、1951年架設)(左)主桁の剥離・鉄筋露出/(右)床版の剥離・鉄筋露出
国道34号嘉瀬橋(下り)(鋼桁、1983年架設) (左)腐食による劣化/(右)亀裂損傷
C1判定の損傷要因は、剥離・鉄筋露出が32%、腐食が25%、ひび割れが19%で、次いでコンクリートのうき、変形・欠損となっています。
C2判定の損傷要因はコンクリートのうきが25%、剥離・鉄筋露出が17%で、次いで腐食やひび割れとなっています。
概ねジョイント部からの漏水による端部の損傷が顕著です。
トンネルは国道35号の2本(青華トンネル、赤絵トンネル)で補修が必要です。
――対策状況は、また1巡目でB判定だった箇所がC判定に変わる劣化進行はどの程度の割合でしょうか
栁田 平成18年度以降、累計で323橋がC判定に区分されており、平成26年度までにそのうち191橋の対策を実施しました。残り132橋も2年以内(点検後の1年目に補修設計、2年目に対策工実施)に対策します。
B判定箇所がC判定に進行していたのは22%程度になっています。
――今年度の補修補強対策について数量およびどのような補修補強を行うか教えてください
栁田 今年度は、32橋の補修工事を予定しています。内容は桁のひびわれ補修、断面修復等、多種にわたっていますが、1橋あたりの施工量は小規模です。