トンネルは208本を管理
E判定は90個所
――トンネルの内訳は
山ノ内 県が管理するトンネルは2014年4月1日現在で208本あり、工種は矢板工法が104、NATM工法が69、その他が30、矢板・NATM併用工法が3、開削工法が2となっています。延長別は100㍍未満が58ある一方で1,000㍍以上が32と長大トンネルも多く抱えています。県内最長のトンネルは魚沼市の奥只見シルバーラインにある明神トンネルで全長は3,920㍍に達します。次いで同ラインの入沢トンネルが3,130㍍となっています。これらは2本とも矢板工法で建設されています。シルバーラインは元々奥只見ダムの建設用道路として作られたものを県が県道として管理しているもので、8割がトンネル構造です。ダムの建設用道路として作られたため、岩盤剥き出しになっているトンネルも多くあります。そのため漏水が激しく道路を維持するための電気機器や通信設備の保全が非常に難しい路線となっています。
新潟県が管理するトンネルの状況
――同じく損傷状況は
山ノ内 新潟県は国土交通省の点検管理要領以前にも県独自の手法で点検しており、それは既に(供用後2年未満のトンネルを除き)一巡しています。補修を要するトンネルの割合はC1が37、C2が37、Eが90となっています。
E判定の内訳はうきが71、漏水が7、ひび割れが5、背面空洞が7という状況です。但し、E判定されているひび割れについては、目地方向がほとんどで外力に起因する大きなひび割れは今のところ見つかっていません。
耐震補強 3プロ対象170橋は今年度完了
今後は孤立集落や長大橋などで対策を立案
――橋梁の耐震補強の進捗状況は
山ノ内 緊急輸送道路上の耐震補強を優先的に対策しておりまして、落橋させないことを目的に3プロレベルで対策を進めています。対象橋梁170橋ありまして26年度までに162橋を完了し、残る8橋も今年度末に完了する予定です。
今後は孤立集落を発生させてしまうような橋梁や長大橋などを想定して新たな耐震補強計画を近々立案する予定です。ただ、新潟県が抱える孤立集落や長大橋は防災避難道路とりわけ原子力災害に関係するところもあり、そういう個所を優先的に取り組んでいかねばならないと考えています。
橋梁の耐震補強状況
――例えば柏崎などですか
山ノ内 そうです。柏崎市、刈羽村は30㌔以内いわゆるUPZ(Urgent Protective action planning Zone、緊急時防護措置準備区域)の範囲内に入っています。そうした地域は道路管理者の従来取り組みとは異なる考え方――避難、屋内退避を国の方で取り決めていますが――地域での原子力災害でどういう風に生かされていくかは全く決まっていない状態です。自治体として30㌔以内は屋内退避、5㌔以内は即時避難とされており、避難経路は示されていますが、具体的にどのように避難の方法をとるかは本格的に議論されておりません。ですからその議論の煮詰まりを注視しつつ新たな耐震補強対策を立案し、道路管理者としての役割を果たしていこうと考えています。