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日沿道は道半ば、上越、磐越両道の4車線化も希求

新潟県 豪雪、大河川、橋梁整備はまだまだ必要

新潟県
土木部 道路建設課長

中田 一男

公開日:2015.07.01

 ――進捗中の道路事業について
 中田 橋梁やトンネルなど構造物を伴う事業を申し上げますと、国道345号旭橋の架け替え事業があります。今秋の開通を目指して事業を進めております。国道345号は海岸線に沿った路線であり、旭橋は荒川の最下流に渡河されている橋梁です。現橋は昭和34年に供用された橋梁(L=382.7㍍)ですが、供用後の河川改修で継ぎ足している部分(L=111.6㍍)があります。河川法が制定された昭和39年より前に架けられた橋であり、計画高水位よりも路面高が低い潜り橋であることから、荒川の洪水時には交通規制を余儀なくされています。また、供用後50年以上経過による老朽化や、日本海に面している塩害環境などにより、著しく損傷を受けています。そのため、現橋の下流部に新橋を建設しています。工事はすでに桁の架設を終えて、取り付け道路および橋面工を施工している状態です。

(写真左)旭橋(旧橋)/(写真右)旧橋における継ぎ足し部分

(写真左)旭橋俯瞰図/(写真右)現在の旭橋(新橋)の状況
 橋梁形式はPC8径間連続箱桁橋で、橋長は505㍍の長大橋になります。塩害対策については、建設前に既設橋を用いて表面塩化物イオン量調査を実施しています。その結果、コンクリート構造物の塩害対策区分がS区分になり、エポキシ樹脂塗装鉄筋の採用、合わせて鉄筋結束する時の鉄線もエポキシ樹脂塗装したものを用いています。コンクリート内部に錆を発生する可能性があるものを無塗装で配置してしまうと、そこから錆が生じて膨張してしまいますので配慮しています。

鉄筋結束する時の鉄線もエポキシ樹脂塗装したものを用いている

図-3 旭橋側面図
 鉄筋のかぶりについては、下部工で90㍉以上、上部工で70㍉以上を確保しています。PCの緊張材の防食については、ポリエチレンシースを用いてPCケーブルを保護していますし、横締めPC部材もプレグラウトPC鋼より線を採用して、品質の確保と施工性の向上を図っています。

(左写真)エポキシ樹脂塗装鉄筋/(右絵)ポリエチレンシース、プレグラウトPC鋼より線
 PCの主ケーブルは桁の内空断面の中に断面外から張り出して緊張する構造となっています。支承については、今回505㍍の連続桁であり、伸縮量は両端合わせて300㍉に達します。桁打設が終わっても桁収縮量が落ち着くのが最低でも1年かかると想定しており、完全に落ち着くには3年近くかかると言われています。300㍉というと打設後にすぐ伸縮装置を取り付けるわけにはいかないレベルの乾燥収縮量ですので、そちらに関しては、それを見越した形で桁を据えることが可能なポストスライド方式を採用しています。同形式は桁設置後に変位が生じたら、ジャッキで支承の下面プレートをスライドさせて、適正な位置に戻すという工法です。旭橋に関しては打設1年後(今年初め)に施工しました。実際の伸縮量は予想より少なく200㍉程度でした。

ポストスライド実施状況
 ――高欄は
 中田 塩害地域ということもありアルマイト処理のアルミ製高欄を採用しています。
 ――大型車混入率は
 中田 1日当たり交通量は約13,500台です。同路線は信号が少なく、沿岸を走ることから産業道路としての側面も有しており、大型車混入率は約16 %ほどです。
 ――使用環境としては過酷ですが、橋梁の床版防水はどのように考えておられますか
中田 現状では従来と同様アスファルトシート系の防水を予定しています。
 ――地覆立ち上がり部など水回り部は
中田 高欄の外側から伝わってくる水が沓座などに到達しないように、地覆の裏側に水切りを設けるなど工夫を施しています。また、地覆施工時に段差を設けた上でドレーンを設置し、打ち継ぎ目に水が回らないようにテーパーをつけて継ぎ目部分に水がいかないようにしています。また、旭橋では残念ながら採用されていませんが、平成26年以降の設計分から橋座面にはかならず2%程度(道示では1%)の片側勾配をつけて水を流れやすくする規定を設けています。

図-4 橋座勾配を2%にして水を流れやすくする
――コンクリート構造物の塩害対策として表面被覆工を予防保全的に採用しているということを仰りましたが、含浸材の採用はありますか
 中田 構造物の維持補修の一環として試験的に採用している事例はありますが、新設において採用した実績はありません

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