新潟県は、信濃川と阿賀野川をはじめとする河川が多いことから道路の整備において橋梁の建設は必須だ。しかし、地盤が悪い箇所も多く、その建設には多額の費用を要する。一方で、喫緊の課題としては高速道路の建設が挙げられる。未だに山形県側と繋がる日沿道は開通しておらず、上信越道や磐越道などの4車線化も必要で、そのうち上信越道は平成30年に4車線化が完成する予定だ。旭橋の架け替えや朝日大橋の建設、耐久性の高い道路構造物建設の追求などの話題について中田一男道路建設課長に聞いた。(井手迫瑞樹)
――県内の地勢的特徴と道路網の現状から
中田課長 新潟県の特徴としてはまず豪雪地帯というのが挙げられます。それから第三紀層と申しまして地質もあまりよくありません。そのため道路整備には多額の費用を要します。また、信濃川・阿賀野川をはじめとした大河川もありますので、橋梁も多数ありますし、丘陵地・山麓もありますのでトンネルの整備もかなり進めてきました。
現在、喫緊の課題は、日本海東北自動車道(以下、日東道)の整備です。現在、山形県側には全くつながっておらず、平成25年に事業化され、これからまさに用地買収に入る状況で、その進捗を期待しています。当県は、山形、福島、群馬、長野、富山という5つの県に隣接していますが、日東道が完成すれば、全ての県に接続する高速道路網ができます。また、日東道の狙いはもう一つあって、先の東日本大震災のような大規模災害に対処するには日本海国土軸があってこそ可能だと経験していますので、一刻も早い開通が望まれています。
また、上信越自動車道につきましては、NEXCO東日本が工事主体となり平成26年度から4車線化工事を実施していただいておりまして、平成30年度の完成を目指しています。磐越自動車道につきましても、4車線化をお願いしたいと考えております。こういう路線ができることで豪雪や豪雨、震災などが起きても各方面への通行を確保できることになります。
図-1 新潟県の高速道路
新潟県の道路実延長は全国8位になっています。非常に長い延長ですが、改良率は67%(全国平均は75%)と整備をいくらしても追い付かない状況です。豪雪地域である新潟県では、通常の2車線道路でも冬期の路肩堆雪により幅員が減少して走行速度が下がり、十分な安全性が保てないという道路も多くあります。そういう道路の改良も望まれていますし、減災、防災面、子供たちの通学の安全という面からも道路の建設、改良へのニーズは高い状況です。
図-2 新潟県の道路改良率(グラフ)(平成25年4月1日時点)
そういった県民からのインフラ整備の要望を踏まえて、当県では、①命をつなぐ道路づくりの推進、②円滑な生活道路の確保、③災害や雪に強い道路づくりの推進、④道路機能を保存するための維持管理の充実、⑤地域の活力を創造する道路づくりの推進、⑥安心と快適さを備えた地域づくり支援、の6つの方針に基づいて道路建設を進めています。
①では第三次救命救急病院を県内5カ所に備えておりまして、その搬送時間の短縮を目指します。②は安心してすれ違いのできる道路整備、③は落石や雪崩などの危険個所の解消を進めるとともに、冬でも安心・安全に通行できる道路を整備していきます。また、⑤、⑥についても鋭意進めていきます。