ショートインタビュー 受注高100億円をめざす
エム・エム・ブリッジ 心機一転して事業に注力
エム・エム・ブリッジ株式会社
取締役社長
逸見 雄人 氏
エム・エムブリッジ(広島県広島市西区観音新町、逸見雄人社長)は4月1日、宮地エンジニアリンググループが三菱重工業から三菱重工鉄構エンジニアリングの株式51%を取得し、グループ傘下に組み入れ、名称変更して発足。三菱重工の創設以来の歴史と伝統を受け継ぎ、設計から製作・現地据付まで一貫した技術を保有する総合鉄構エンジニアリング会社として、新たな船出を切った。就任して約2カ月、逸見社長に現況と今後の事業展開を伺った。(佐藤岳彦)
――新会社として約2カ月が過ぎましたが
逸見 新会社としてスタートするまでは、社内では不安感が漂っていた。そのため、社内の気持・意思の統一を図ることを最優先として、社内の現場や社員たちとの意思疎通を図るための対話に努めてきた。現段階では、私が目指す方向に進みつつある。社名を一新し、心機一転、事業を正々堂々とできるような体制になっている。
三菱重工は売上高3~4兆円企業。橋梁事業の売上は約150億円。重工グループ内では母屋の軒先あたりにいる存在。実績を上げてもグル―プ内ではなかなか評価されなかった。宮地エンジニアリンググループでは、支えなければならない立場になり、力を発揮できる環境になった。
――今年度の事業計画は
逸見 昨年度は、新会社へ移行するために負の遺産を処理したため、大きな赤字となった。今年度は売上130億円。損益はプラスマイナスゼロ。できればプラスにしたい。受注は100億円を目標に30~40億円の上振れを期待している。14年度は23万㌧割れとなったが、今年度は昨年出件が多かった国土交通省関連が減少するが、NEXCO関連が増加する見込みで25万㌧まで回復すると予測。その中で、採算性の良い利益を確保できる案件を中心に受注を目指していきたい。
――組織体制について
逸見 大きく変えた部分は、広島から技術提案を担当している部署を東京に移転した。現在の入札制度は総合評価型、技術提案重視なので、宮地エンジニアリングと情報交換をしやすくし、技術提案や積算面での精度をあげる。ライバルでもあり、切磋琢磨して受注を高めることが期待できる。
製作部門の千葉工場は手狭。難易度が高い製作が始まると工程が遅れることが多々ある。作業員の手待ちなどのロスが生じ、昨年の損益悪化の要因になっている。宮地エンジニアリング千葉工場への移転や、外部への提携先も視野に模索している。業界全体でも設備過剰なので、統合することは自然な流れと考える。
――新設橋梁以外の事業については
逸見 20年の東京五輪までは新設に注力する。新設需要が減少することは紛れもない事実なので、保全分野の大ロット、技術難度が高い改築などに対応できる体制づくりを開始している。ハイブリッドケーソンやハイブリッド浮桟橋などの沿岸鋼構造物への注力を進めていく。このほか、空気タービン式波力発電システム、サンゴの移植・増殖技術、直立式浮上防波堤などの環境・防災技術の研究開発も継続して進めていく。
――ありがとうございました
(鋼構造ジャーナル 6月15日号より転載)