「10箇年計画」では7橋の架替え計画
大規模な橋梁では城崎大橋も架替え
――他に架替え橋などの事例は
門間 計画的、効率的に老朽化対策を進めるため策定した「ひょうごインフラ・メンテナンス10箇年計画」の対象としては、現在、上部工を施工中の竹野新橋(92.8㍍、3径間連続プレビーム合成桁橋)などで順次、架替えを実施しています。
竹野新橋は架替えが進んでいる
その他にも大規模な橋梁では城崎大橋も架け替える予定です。
――城崎大橋は
門間 城崎大橋がかかる円山川は、平成16年に発生した台風23号による水害のほか、出水が頻発しています。これを受けて、「円山川緊急治水対策」による治水対策事業が進められています。城崎大橋は老朽化が進んでいることや、10㌧の荷重規制があること、観光バスが通れないほど幅員が狭く離合困難であること、現行の河川基準を満たしておらず河積阻害率が高いこと――から架替えるものです。
橋長は560㍍を予定
5月には橋梁形式が決定
――どのような橋梁に架替えるのですか
門間 橋長は約560㍍を予定しており、現在、兵庫県が計画している河川を渡河する橋梁事業では最長となっています。架橋地周辺はラムサール条約に登録された戸島湿地が広がっており、コウノトリの生息地としても重要なエリアとなっています。また、城崎温泉は全国有数の温泉観光地であり、豊岡市の「景観形成重点地区」に指定されています。円山川下流域は「山陰海岸国立公園」や「山陰海岸ジオパーク」のエリアにあり、これらを考慮した景観形成を図る必要があります。
城崎大橋の現況。径間長は短く河積阻害率が高く、幅員は橋小、老朽化も進んでいる
昭和31年10月12日に供用された
一方で、架橋地はN値10以下で基礎は40㍍以上必要なため、死荷重を軽くして基礎を少なくする検討も必要です。対岸にコウノトリの生息地があり、コウノトリの生態、生息地の見学などに配慮する必要があります。むろん治水の観点も必要です。
そうした点を考慮して橋梁、環境、景観、河川の専門家、豊岡市長や豊岡河川国道事務所長などに委員を務めていただく設計検討委員会を設置し、検討を進めており、今月には橋梁形式が決定する予定です。
――防食面では
門間 現場は海岸線に程近いことから飛来塩分の濃度が高いほか、冬季には多量の凍結防止剤を散布することが予想されます。そのため、橋梁形式に応じて上下部とも、適切な防食を行うことが必要です。
――県独自の技術
門間 兵庫県独自の基準としては、干潮区間にある下部工については塩害対策区分Sで対応するよう指導しています。城崎大橋の下部工では塩化物イオン濃度に応じてコンクリートかぶり厚やエポキシ樹脂塗装鉄筋の採用など塩害対策区分Sを念頭においた対応が必要と考えています。
また、建設分野で用いている県独自の技術として、兵庫西流域下水汚泥広域処理場で製造される溶融スラグを用いて、境界ブロックやU型側溝などの二次製品を採用する取り組みも行っています。
――ありがとうございました