道路構造物ジャーナルNET

伊良部方式の防食対策を施して施工

泡瀬人工島連絡橋などを建設

沖縄県 土木建築部
中部土木事務所長

仲村 守

公開日:2015.04.01

 沖縄県中部土木事務所は沖縄本島の浦添市・西原町以北うるま市・読谷村以南の4市3町3村を管轄している。管轄面積は281平方㌔と県全面積の12.3%、人口は60万9,000人と全県人口の43%を占めており、人口の密集した地域だ。泡瀬人工島への連絡道路をはじめ橋梁の新設を今後多く控える。また、既設構造物の平安座海中大橋など長大橋の塩害対策を含む補修補強工事を進めている。仲村守所長に話を聞いた。(井手迫瑞樹)

県全面積の12%に43%の人口が集中
 所管道路は33路線241㌔

 ――沖縄県中部土木事務所の管轄する道路網と地勢的な特徴から
 仲村所長 沖縄本島の浦添市・西原町以北うるま市・読谷村以南の4市3町3村を管轄しています。管轄面積は281平方㌔と県全面積の12.3%、人口は60万9,000人と全県人口の43%を占めており、人口の密集した地域といえます。管内においては米軍用地面積が66.1平方㌔と管内面積の23.5%を占め、嘉手納飛行場や普天間飛行場などの広大な米軍施設が存在していることから、都市形成や道路網の整備など土地利用を進める上で大きな制約になっています。
 地勢的には北谷町・沖縄市以北が中部広域都市計画区域、宜野湾市・北中城村以南が那覇広域都市計画区域にわかれています。中城湾には中城ドームと呼ばれる地形的な特徴があります。中城湾一帯はドーム状に地殻変動が起きて陥没した地域らしく、勝連半島や沖縄市、北中城村、中城村、西原町、南城市北部といった湾に面する斜面が引きずり込まれるような地形をしています。島尻層泥岩のがけ地が点在しており、地滑りが起きやすい地域となっています。県内1032か所が土砂災害危険箇所とされています。
 当事務所の事業予算は100億円強となっています。県全体の土木建築部予算に占める割合は15.2%です。うち道路橋梁費は約51.5億円、都市計画費は約25.9億円となっています。
 道路網は国道58号、329号、330号、及び沖縄自動車道が南北方向の軸となっており、東西方向は県道が横軸となっています。 所管道路は主要地方道9路線、一般県道24路線で全体の延長は約241㌔でそのうち一次改良済みが約221㌔(91.6%)となっています。舗装率も91%に達しています。

泡瀬工区で800㍍の長大PC橋を建設
 伊良部と同様の塩害対策を実施

 ――整備予定の道路は
 仲村 道路事業としては8路線12工区、街路事業として4路線5工区で事業を進めています。17工区合計で約38㌔の延長であり、平成26年度末の発注進捗率は36%、工事進捗率は41%となっています。構造物比率は12.4%で橋梁は14橋約4,100、㍍、トンネルは1か所263㍍を予定しています。
 大きな事業としては一般県道20号線泡瀬工区があります。沖縄市比屋根の泡瀬干潟上に建設が進められている人工島(東部海浜開発事業、約100㌶)にアクセスする道路で全線を橋梁で計画しています。平成26年度は仮設桟橋工事を着手しており、平成27年度はセグメント製作ヤードの地盤改良工事に着手します。橋梁形式は6径間ポステン中空床版(取付け部)+12径間2主断面箱桁橋(海上部、上下線で2主断面箱桁)下部工、基礎工の形式は逆T式橋台、二柱式橋脚、鋼管杭(φ1100)です。


                                    主な新設構造物

浦添西原線で947㍍の長大橋を計画
 ――国道を東西につなぐハシゴ道路の整備は

 仲村 南から国道58号バイパスから329号までを東西につなぐ道路として浦添西原線(浦添市港川~西原町翁長、延長約8㌔)があります。次いでJ2のスタジアムを建設している県総合運動場へのアクセス道路として期待される宜野湾北中城線(北中城村安谷屋~渡口、約2.6㌔)、ライカム(琉球米軍司令部跡)交差点付近建設を進めるイオンモールへのアクセス道路となる沖縄環状線(北中城村比嘉~比屋根、2.85㌔)、その先は県道24号BP(街路事業、北谷町桑江~沖縄市南桃原、約1.7㌔)、一般県道20号線泡瀬工区と連続する胡屋泡瀬線(街路事業、沖縄市上地~高原、約3.4㌔)などが建設中です。
 主要な道路事業としてはまず県道浦添西原線の翁長~嘉手苅工区があります・国道329号からゆいレールの延伸部第四駅(浦添前田駅)の近くの坂田交差点までの約3㌔の延長で、勾配がきつく蛇行している現況道路について、947㍍の長大橋梁を含むバイパス道路を建設する予定です。橋梁の形式は757㍍の連続PC中空床版橋+連続PC箱桁橋、160㍍、30㍍のPC橋で構成されます。また、同地は坂田交差点と高速道路を跨ぐ個所に一部モノレールと並走する形で420㍍の連続鋼鈑桁橋を予定しています。事業主体は県庁のモノレール建設室およびNEXCO西日本となっています。このほど下部工に着工しました。
 次いで県道20号の胡屋泡瀬線は沖縄市胡屋付近で280㍍の連続ポステンT桁橋を施工する予定であり、24道示に合わせて修正設計中です。
沖縄環状線の比嘉~比屋根間については平成26年度末に事業を完了しました。ライカム交差点は1日交通量が10万台を超える県内有数の交差点ですが、それを供用しながら片勾配の道路で1.5㍍程度路床を持ち上げて、勾配を緩やかにしました。


              ライカム交差点
 県道24号線は1720㍍の延長のうち、651㍍の橋梁を予定しています。ただし同橋梁は設計にも入れない状態です。

                           主要道路事業一覧

県道24号では長大橋の計画が塩漬け

 ――キャンプ桑江の上空ですね。ここは8年以上前に当時の福地貞夫所長の時代から懸案でしたが、まだ塩漬けですか
 仲村 米軍との調整に時間がかかっています。何とか早めに解決できないかが心情です。こうした米軍基地関連事業は道路で4路線、河川で3河川あり苦慮しています。
 ――トンネルを伴う構造物は
 仲村 100㍍を超えるトンネルは宜野湾中城線の和順トンネル(北中城村和仁屋)があります。延長は263㍍ですが、熱田の地滑り地域の際を通り、土被りも薄いため慎重な工事が要求されます。
 ――PC橋の塩害対策は
 仲村 泡瀬の人工島へ連絡する橋梁など海上部や海岸線から1㌔未満のエリアで架設するPC橋は、エポキシ樹脂塗装鉄筋、フライアッシュ(下部工は塩害対策、上部工はワーカビリティ向上が目的)、エポキシ樹脂被覆PC鋼より線といった伊良部大橋で使われた塩害対策を踏襲する方針です。ただ、ひび割れ低減のために炭素繊維グリッドを貼付するかどうかは検討中です。
 また、コンクリート保護塗装の採用も選択肢と考えています。
 
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