塩屋トンネルで早期併合工法
コンポジット舗装も採用
――構造物は
嘉手納 179㍍の塩屋トンネルがあります。工事個所の地層は亀裂の多く発達した千枚岩を掘削するため、掘削中の沈下が懸念されました。そこで沈下抑制を図ることのできる手法として、県内では識名トンネルで実績のある補助ベンチ付全断面早期併合工法を採用する予定です。従来の上部半断面工法では、上半部、下半部、インバート部に分けて掘削を進め、その100㍍程後方でコンクリート打設を行いますが、今回採用した工法は上下半を施工し上半切羽より10数㍍後方で吹付けコンクリートを行い、早期に断面を閉合することで沈下を抑制します。
また、同トンネルの舗装には従来のコンクリート舗装ではなくコンクリートの基層の上に中間層および排水性舗装を設置するコンポジット舗装を用います。
本トンネルの坑口付近には集落があり、交通騒音を懸念する声が住民の方より寄せられました。トンネル完成後の騒音を予測した結果コンポジット舗装にすることで交通騒音値を低減できることが判明しました。また、耐久性も通常のアスファルト舗装より寿命が長く、コンクリート舗装よりコストも縮減できることから採用しました。
飛来塩分による塩害
再塗装後早期の劣化も
――次に保全について現在の管内橋梁の内訳から
嘉手納 管内では259橋を管轄しています。上部工形式別では鋼橋が50橋、PC・鋼複合橋が2橋、PCが109橋、RCが41橋、ボックスカルバートが57橋となっています。
供用年次別では本土復帰(1972年)前が69橋、復帰後が190橋となっています。
管理中の橋梁
――点検を進めてみてわかった損傷の傾向を上部工形式や部位別にお答えください
嘉手納 まず鋼桁については、飛来塩分による塩害により腐食や防食機能の劣化が生じています。ただし、塩害に加えて、沖縄特有の高温多湿な環境や排水処理の不良、(財源不足による)塗装塗り替えサイクル限界値の超過の複合的な要因による劣化と判断できる箇所も少なくありません。
また、その他の要因として、塗装塗替えの際に、溶接部などは十分な下地処理の実施が困難であり、再塗装後早い段階での防食機能の劣化が見られます。
腐食状況①(伊那嘉原橋) 腐食状況②(伊那嘉原橋)
塩害環境に架設される鋼橋(呉我橋) 鋼材部の腐食状況(呉我橋)