道路構造物ジャーナルNET

事業期間はおおむね15年を想定

大規模更新・大規模修繕は約3700億円

阪神高速道路株式会社
参与

西岡 敬治

公開日:2015.02.01

 ――西船場では鋼管集成橋脚を地震時のみに作用する「犠牲橋脚」として採用する方針と聞いています。具体的な構造を教えてください
 西岡 鋼管集成橋脚は鉛直に建て込んだ4本の鋼管を複数段の横つなぎ材で繋ぐ橋脚です。横つなぎ材は低降伏点鋼で製作されたいわゆるせん断パネルを用いています。地震時には同部材が優先的に地震力などの水平荷重を吸収することにより、(鋼管部への)クリティカルな損傷をできるだけ防ぎ、早期復旧を可能にするよう設計されています。ケーソン基礎を出来るだけ小さくし、橋脚そのものもスリムにできるため、西船場のような設置ヤードが狭い個所でも建てこめます。
今回、この鋼管集成橋脚は通常時は桁を乗せず、地震時のみ桁の荷重がかかり、地震力を吸収する橋脚として設置しています。


        鋼管集成橋脚のパース            海老江JCTの採用例 

 ――なぜそのような橋脚が必要となったのですか
 西岡 現場は狭隘な場所にしか橋脚の設置スペースがなく、既存の橋脚を補強することはできず、また新たなRC橋脚をつくると大きな基礎が必要となり一般道の長期間の規制が必要となるほか一般車両の死角を大きくするなどのデメリットがありました。そこで基礎が小さくでき施工も容易でコスト的にも優位な鋼管集成橋脚が採用されました。
 ――現在の進捗状況は
 西岡 基礎の補修および新設橋脚部基礎の施工、鋼管集成橋脚の工場製作、梁部の拡幅工事などを施工中です。

 新神戸トンネル天井版を撤去
 4.8㌔を約40日で

 ――撤去工事中の新神戸トンネルについて
 西岡 笹子トンネルの事故を受けて全国で天井版の撤去工事を行っており、新神戸トンネルの天井版撤去工事もその一環です。実は新神戸トンネルは笹子トンネルと同じ形式ではありません。トンネル部と剛結する形であらかじめ一体化した場所打杭構造の天井版です。しかしコンクリートそのものが劣化しており、全部とってしまおうということになりました。
 全長では8㌔のトンネルですが天井版はそのうち約4.8㌔についていました。これを昨年9月初頭から10月上旬までの夜間通行止めを行い約40日間で撤去しました。非常駐車場の個所のみ残しており、後で1車線規制を行い撤去する方針です。現在は覆工コンクリートの補強工事および監視員通路の嵩上げ工事を施工しています。


         新神戸トンネルの天井版撤去工

 ――阪神高速道路管内にこのようなトンネルは他にはもうないのですか
 西岡 長田トンネルがあります。形式は笹子と同じですが、供用は平成22年と新しいトンネルです。吊りアンカーボルトはケミカルアンカーを使用しており、損傷は特に見受けられませんが天井版は撤去する方針です。


     神戸長田トンネルも天井版を撤去予定

 ――ありがとうございました

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