新たな良きパートナーを得て、さらに国民の安全・安心に寄与
宮地エンジニアリンググループ株式会社
代表取締役社長
青田 重利 氏
中長期的には500億円の売り上げ目指す
――売り上げや鋼橋の受注トン数目標は
青田 売上は当面はグループ全体で年間400億円、中長期的には同500億円を目指します。昨年度の鋼橋受注トン数は、宮地エンジニアリングが約1万7千㌧、三菱重工鉄構エンジニアリングが約8千㌧であり、今後は3万㌧を超える量の受注がコンスタントにできることを目指します。また、保全事業の売上を倍増させ、鋼製セグメント、沈埋函、ハイブリッドケーソン等の沿岸構造物といった新しい分野と合わせて収益源を多角化させたいと考えています。
(左)妙典橋(千葉県)、(右)南本牧ふ頭本牧線(Ⅴ工区)高架橋上部工事(国土交通省関東地方整備局)(いずれも宮地・三菱JV)
保全は拡幅、架け替えの時代でもある
――保全事業で倍増を目指すのは意欲的ですね
青田 中期的には可能であると思っています。供用開始後50年を超える橋梁は、現在では全体の2割程度ですが、10年後には4割以上、20年後には 7割弱に達すると言われています。そうなると従来の保全工事レベルで対応できる橋梁もあるでしょうが、中には大規模な拡幅や床版の取り換え、または桁の架け替え、橋梁全体の架け替え需要も生じてくると考えています。NEXCO3社、首都高速道路、阪神高速道路の各社が大規模更新や大規模修繕を今後行っていくとしており、それが架け替えの嚆矢になると考えます。と同時に地方自治体が管理する中小橋梁にも、拡幅と架け替え需要が必ずあると考え、関連商品の開発を行っており、その拡販についても従来の発想にとらわれない販売方法を検討しています。
そうした中で、当社の強みは合併によりファブと実績豊富なエンジニアリングの両部門をもっていることであり、さらに三菱重工鉄構エンジニアリングのグループ化により必要な機材、技術的ノウハウ等も増え、既存橋梁の撤去や架設を効率的かつ安全に低コストで製作・施工することができます。こうした保全事業や架け替え、拡幅、更にはFRPに代表される保全関連商品もあり、能動的な営業展開でコンスタントに売上に寄与することができると考えています。
関門トンネルFRP合成床版(NEXCO西日本)
何よりこうした事業は脆弱な日本の国土を考えれば、今まで以上に必要になってきます。 特に長大橋は半分以上が鋼橋であり、技術を失えば国土の安全・安心は重大な危機に陥ります。しかしそれを担う業界や会社が魅力的でなければ後継者は現れず、技術・技能の継承はできません。当社は何より収益を向上・安定させることで社員が働いて良かったと思える環境を作りあげ、そして日本の国土の安全・安心に寄与したいと考えています。