ウェブに漏水跡が確認されている箇所も
PC桁端部の詳細調査が必要
――PC桁の端部は。
羽野 現在調査中です。建設当時は鋼製シースで上縁定着、床版防水も未設置であったため、損傷している可能性もあります。上縁定着、床版防水未設置箇所であった福岡高速粕屋線の貝塚付近の古い橋梁を対象として調査したところ、上縁定着部に目立った損傷は確認されませんでした。ただ、場所によってはウェブに漏水跡が確認されている箇所もあり、今後より詳細な調査を行う予定です。
――近年各地で連結や補修が進むゲルバー構造は存在しますか。
羽野 福岡高速香椎線の香椎付近の鋼桁部でゲルバー構造があります。しかし、これは比較的新しい時期(供用から20年)に建設されており損傷などは生じていません。また北九州高速4号線の足立付近(三萩野)でPCのゲルバー構造があり、その部分が垂れ下がる傾向を生じたため、平成15~20年度のリフレッシュ工事時に下に橋脚を新設し、これ以上の沈下を阻止しています。
また、福岡高速の一・二次供用の部分(香椎線の香椎~築港間など)は殆どが鋼製の単純桁です。同区間には、PC桁も単純桁なので、その一部は、上部工震災対策として平成16~20年度に連結していますが、今後はそうした箇所の連結も検討していく必要があります。
床版防水は素地調整技術を検討
阪神高速道路と共同で
――床版防水工については、どのような状況ですか。
羽野 既供用部における床版防水工はアスファルト加熱型塗膜防水に、基層に不透水性能の高いSMA(砕石マスチックアスファルト)舗装を採用することで、昼間は供用し、夜間のみを規制して工事する(以下、「日々規制」という)条件下で防水性能を極力高めた仕様としています。設置状況は福岡高速が延長53㌔中50.2㌔(95%)、北九州高速が22.4㌔中11.6㌔(52%)となっています。北九州高速での設置が比較的遅れている状況です。
――高性能床版防水や複合床版防水などの新技術の活用は。
羽野 阪神高速道路㈱との技術協定に基づき、防水層の高機能化として、防水工を設置する際に重要となる、過切削となった床版表面の素地調整技術について協同して検討しています。ただ、今後連続桁の上での施工が多くなっていく中で、当社管轄の高速道路は日々規制という条件化での施工が基本ですから、施工面積と品質の向上のバランスをとらなければなりません。もう少し言うと防水や舗装の目地をどれだけ作らずに済ませるかということを考慮に入れて、床版の素地調整技術を模索しています。なお、防水工の立ち上がり高さは基本的に舗装と同じ高さです(地覆の防水工は別途行っており、舗装と地覆で防水工の継ぎ目がある)。