平成27年度までに耐震補強を完了へ
緊急輸送道路上の橋梁
――橋梁の耐震補強の進捗状況は。
川合 緊急輸送道路などに架かる401橋のうち、25年度末までに対策を完了もしくは着手している橋梁は、371橋となっており、9割を超えています。なお全ていわゆるフルスペックによる対応しています。平成27年度末までに全てを完了させる方針です。
今年度は、港南大橋、飯塚橋、豊田陸橋、江戸橋、清洲橋など40橋の耐震補強工事を発注する予定です。目立った工法としては江戸橋でブレースダンパーを用いた制震的補強、清洲橋で粘性ダンパーを用いた補強工法を採用している事例があります。
耐震補強を行っている主な橋梁
豊田陸橋
ブレースダンパーを用いた制震的補強を行った江戸橋
新港南橋(左)、三之橋(右)
――経年劣化や疲労などによる上部工の補強などの実績はありますか。
川合 ここ数年でそうした実績はありません。床版の打替え事例は蔵前橋(バックルプレート上のコンクリート打替え)、取替事例としては白鬚橋(グレーチング床版から鋼床版への取替)などがあります。
鋼床版の疲労亀裂については、致命的な損傷は見つかっていません。というのも都道はMaxでも環状7号線の4万台程度で、なおかつ大型車混入率も7~8%程度と低く、混入している大型車も直轄国道や高速道路のような大型トレーラーなどの交通量は少ないため、床版や桁に疲労による損傷を与える深刻な損傷を与えることが起きていないのだと考えています。
コンクリート橋については塩害やアルカリ骨材反応による劣化の事例は起きていません。最終的には中性化でやられるかもしれませんが、そこまで至っている個所はありません。
床版防水は昭和50年から実施
床版全面に施工
――床版防水の設置については。
川合 東京都では国がまだ基準を定めていない昭和50年頃から床版防水工を施工しており、基本的に全橋で設置している状況です。しかも、国が暫定的に施工したような連続桁の支点上のみの床版防水ではなく、橋梁の床版全面に昭和50年の当時から施工していました。
――極めて先進的ですね。床版防水の工法は。
川合 基本的にアスファルト系です。ただ、良い工法の提案があれば積極的に試していきたいと考えています。
――支承取替やジョイント取替、ノージョイント化は。
川合 支承取替は9橋、ジョイント取替は7橋で予定しています。支承取替は基本、鋼製沓のAタイプをBタイプに変更します。ゴム支承への交換は考えていません。ジョイントの連結工は一部で行っていますが、構造系を変えることにより不具合が生じるケース、特に伸縮装置が残る箇所において伸縮量が増加し余計に壊れやすくなる可能性もあり、基本的には止水構造の補修もしくは取替で対応しています。
――塩害やアルカリ骨材反応による劣化の有無は。
川合 5年に1回の詳細点検により対応しており目立った損傷はありません。