近接施工に配慮
日見夢大橋の建設
――景観的に構造物の形を大きく変えにくいとは思いますが、合理化など技術的工夫について教えてください
松田 日見夢大橋(373.5㍍、PC3径間連続エクストラドーズド箱桁橋)は、元々Ⅰ期線も崖地に架けられていますが、Ⅱ基線はさらに斜面が厳しくなっています。Ⅰ期線の近接施工であるため基礎への影響や上部工施工中の配慮なども必要です。
加えてランプ橋(長崎芒塚IC)が近くにあるため、工事中は交通の切りまわしが大変になることが予想されます。もともと長崎芒塚ランプ橋も暫定2車線であることを前提に建設されています。それが4車線化するということで作る時も交通量(断面交通量約10,000台超)を考えながら施工していく必要があります。直下を走る国道34号に対する配慮も必要です。
ランプ橋はハーフランプ形式になっているため、それをどうするかという議論も俎上に上ってくると思います。これを詳細設計していって、いかにお客様に迷惑をかけないで施工するかに努めていかなければなりません。
また、長崎芒塚IC~長崎IC間3㌔の4車線化が将来行われる可能性があることも考慮して、施工することを考える必要があります。
日見夢大橋のフォトモンタージュ
コンクリート保護材の採用を検討
掘割式土留め工法の適用も考慮
――もう少し構造的な特徴と長期耐久性向上の施策を
松田 コンクリート保護材などの採用も検討しています。他にもⅠ期線で得た知見、管理面で生じた課題などをフィードバックして製作していく方針です。基礎および下部工については、掘割式土留め工法の適用などについても慎重に検討していきます。
――トンネルについては
松田 土被りが薄い個所も多く河床など中には1.5D程度の場所も存在します。ただ、地上権はⅠ期線で取得しており、施工による社会的影響はないと考えます。地質もⅠ期線で把握しており、大きな問題は今のところありません。
ただ、1点だけⅠ期線と異なるのは建設中の長崎新幹線のトンネルと中里トンネルが交差する個所があることです。ただし、ここも現在のⅠ期線トンネルがあることを前提に(鉄道建設・運輸支援設備支援機構側が)新幹線トンネルを設計しておられるので、大きな変更は無いと考えています。
――ありがとうございました