技術検討委員会より提言
大規模修繕に着手 ~26年間で1400億円投資へ~
名古屋高速道路公社
保全施設部長
志水 公敏 氏
今年度塗り替えは45,000平方㍍
ゴムダンパーでオゾンクラックと想定される損傷
――鋼橋の塗り替えについて
志水 今年度は楠線と東山線で45,000平方㍍塗り替えます。一般部は3種ケレンで対応します。
今年度は45,000平方㍍を塗り替え 電磁波レーダーによる非破壊検査技術を採用
――新技術の開発や採用事例など
志水 当社で先駆けて採用している技術としては、舗装の上からでも床版の劣化診断が可能な電磁波レーダーによる非破壊検査技術(スケルカ等)を採用しています。床版は下面から見ても床版上面の劣化状況は分からないケースが多く、上面から検査をするには従来であれば交通規制を行い、舗装をはがして検査する必要がありました。スケルカは舗装上から法定速度で走行しつつ、電磁波レーダーにより床版内部の精度の高い点検が可能であるため、その次段階の詳細点検、補修補強のコストが相当程度削減できます。
――道路維持管理に関する検討業務の中ではゴムダンパーの安全性についても検討する予定ですが、どのような損傷が生じているのですか
志水 ゴムダンパー(「HDR」)にオゾンクラックと想定される損傷が生じていまして、その確認をしようというものです。大高線の実橋のゴムダンパーをはずして、愛知工業大学において性能確認試験も行う予定です。
――現在、そうした劣化部の補修はどのように行っていますか
志水 検討している状況です。ゴム支承の紫外線劣化対策は基本的に、本体支承の上面に被覆ゴムをもう1層巻いて本体を保護するものが一般的です。それならば劣化後に被覆ゴムだけを取り外せばいいのですが、問題は被覆ゴムの部分を本体と一体成型していることです。この場合、被覆ゴムの取り外しができず、被覆ゴム層に発生したクラックが本体に影響してしまうことが懸念されます。
現在は、一部のゴムダンパーにクラックに注入剤を施工して修繕する手法を試験施工しています。
オゾンクラックによる損傷が疑われるゴム支承 鋼製支承の損傷状況
保全分野の人員を1.5倍増に
各種研修を充実
――不調不落対策、大規模修繕についての体制強化について
志水 26年間で1,400億円投資していきます。現在年間60億円の維持修繕費がかかっていますが、そのほかに53億円程度投資していくということです。これに伴い人員も現在の50人を建設分野からの配置転換などにより増員する方針です。
今後、新規の建設現場がなくなることから構造物全体を知る人間が減少していくことは否めません。技術力を維持するには各種研修を充実させるとともに建設事業を続ける各高速道路会社との人材交流を含め緊密な情報交換が必要であると考えます。
――ありがとうございました