技術検討委員会より提言
大規模修繕に着手 ~26年間で1400億円投資へ~
名古屋高速道路公社
保全施設部長
志水 公敏 氏
複合床版防水工法を採用
下面から繊維シートで補強
――RC床版に高機能床版防水を施工することが示されていますが、既設床版において大面積を防水する場合、大規模な交通規制が必要となるが、これをどうしますか。また、床版防水工の設置率を教えてください。
志水 高機能床版防水工の施工は、リフレッシュ工事(路線毎に一定期間全面通行止)に合わせて施工する予定です。昨年度は小牧線の上り51,700平方㍍を施工しており、今年度は下り63,000平方㍍を施工します。
リフレッシュ工事は今年度も行う 複合床版防水工法を採用している
床版防水工は平成14年以来設置を進めており、設置率は平成24年度末で71%(RC床版全面積917,300平方㍍中、653,800平方㍍)を完了しています。そのうち高機能床版防水は17%(108,700平方㍍)を占めています。今後、リフレッシュ工事では高機能床版防水を使用していく予定で、具体的な採用工法は首都高や北海道などの寒冷地で採用実績がある複合床版防水工法です。浸透系の樹脂材料を床版コンクリート上面へ塗布し、次いでアスファルト塗膜系防水材を敷設する工法で、浸透系樹脂材料は、コンクリートのひび割れに浸透し補修する効果もあります。
(複合床版防水工法の)アスファルト系防水工の施工 舗装の打ち替え
名古屋は他都市と比較して冬季の凍結防止剤散布量が多く、より確実な防水性と遮塩性を兼ね備えた防水層の設置が必要であったことや、従来の加熱型アスファルト塗膜系防水層施工箇所において、施工後数年で床版の劣化およびそれに関連した舗装の損傷が見られたため、こうしたグレードの高い防水工を採用しました。舗装切削にあたっては一部で切削精度を上げるためにTSファインミリング工法等を採用しています。
――RC橋脚は
志水 劣化部について断面修復を行うと共に、コンクリート橋脚全面に表面被覆工を施工します。
TSファインミリング工法を採用
三重の止水構造を持つカセット樋に交換
端部塗装は1種ケレン+重防食で対応
――桁端部については
志水 主桁の端部、支承部、鋼製橋脚の梁天端部が対象であり、それらは全て1種ケレンを施した上でふっ素系塗装を用いた重防食で塗り替えていきます。また、伸縮装置の非排水機能を強化するため、樋を現状のSUS樋から三重の止水構造を持つカセット樋に交換していく予定です。
三重の止水構造を持つカセット樋(左が概要図、右が実際に設置した写真)に交換していく
――そのほかは
志水 排水管、遮音壁などの付属物についても耐用年数を設定して更新していきます。