概算費用は5,000億円
日本橋上空高架の撤去想定
――同区間はオリンピックに合わせた日本橋上空高架の撤去要望があります。
日本橋
菅原 撤去するには地下化と(撤去区間を短縮しようとすれば)出入り口の大規模なループ構造化を図らなければなりません。小泉政権時代に日本橋の撤去、地下鉄などを考慮した地下化、縦断勾配を考慮した撤去区間の延長を考慮した概算費用を算出したところ、実に5,000億円を要するという結果が出たことがあります。地元の期待も承知していますが、実現するには更なる費用の確保が必要となります。
――単純撤去は考えられませんか。
菅原 中央環状品川線の開通などによりそちらに流れる交通量もありますが、それでも相当量の交通量は残るものと思われます。撤去すればこれが国道や都道などに流入するわけで、都心部で慢性的な渋滞を引き起こすことになり、交通政策的に上策ではないと考えます。ロードプライシングやモーダルシフトなど交通政策の転換を伴わなければ難しいでしょう。
――同(銀座~新富町区間は)
菅原 昭和37年供用の半地下構造区間で、延長は約1.5㌔あります。擁壁のコンクリート被り厚が元々43㍉(現行規定は70㍉)しかなく、コンクリート片の剥落や鉄筋の腐食が顕著になっています。加えて、築地川に沿った線形となっているためカーブが多く施設接触事故が多発しています。
都心環状線(銀座~新富町)の損傷状況
更新に当たっては現行基準に合った擁壁へ取り替えるとともに、一部で線形を改善する予定であり、用地の買収が必要です。空中権の活用など築地周辺の都市再生と一体となった計画の中で首都高速道路の更新も行います。既に国土交通省、東京都、中央区、当社からなるプロジェクトチームが立ち上がっており、内容を検討している最中です。
同区間(1日交通量は10万台超)は迂回路の設置が難しいため、上下線それぞれ1車線ずつ確保しながら施工していくことを想定しています。
――大規模修繕は
菅原 全体の事業規模は2,487億円を予定しています。実施対象は、昭和48年2月の道路橋示方書の基準より前に設計されたRC床版の最小厚が薄く、鋼桁のたわみ制限が緩和されている橋梁、昭和53年道路橋示方書「コンクリート橋編」より前の基準で設計された鉄筋被りが薄い橋梁などとなっています。オリンピック関連路線(オリンピック輸送調整会議にて利用施設が来年2月に決定する予定)については、開催までに対策の完了を目指します。
――長時間ありがとうございました。