鋼床版形式で拡幅
基礎構造も補強を検討
――3号渋谷線(池尻~三軒茶屋間)は。
菅原 現橋のRC床版に亀甲状のひび割れが多数発生している状況です。というのも、同区間の高架橋は、建設時に地下鉄と一体化した構造になっているため、一般的な橋脚に比べて横梁の張出長が10㍍と長く床版が変形しやすいのです。同区間は大橋JCTから流れてくる交通量も多く、上り下りの縦断勾配も急であることから、一部で付加車線を設けて安全性の向上、渋滞の緩和に努めます。
高速3号線(池尻~三軒茶屋)の構造と一般的な構造の差異
3号渋谷線航空写真
3号渋谷線 床版の疲労損傷
さて、更新に当たっては、地下鉄への影響を抑えるため、床版の重量を増やさずに耐久性が高い鋼床版などに取り替えることを想定しています。床版取替えは工事中の交通影響を低減するため、1車線毎に施工します。また、床版取替えに当たっては、床版が接合していた主桁側の補強工を施さなければいけません。加えて、現在の基礎構造(地下鉄トンネルとの一体構造)も不十分と考えており、補強を検討しています。基礎補強は地下鉄の構造物に影響を与えないよう、しかもき電停止している夜間の僅かな時間内に施工しなくてはならず、新工法の採用など工夫が必要です。
――都心環状線(竹橋~江戸橋間)は。
菅原 同区間は昭和39年、即ち前回の東京オリンピックの直前に供用された区間です。延長は約2.9㌔あり、上部工は鋼桁、下部工はRC杭に鋼製橋脚といった構造です。維持管理の面でも桁下に管理路がなく、点検には船が必要になるなど、制約を多く抱えています。損傷状況としては、鋼桁の接続部(切欠き部)を中心に疲労亀裂、RC床版には亀甲状のひび割れが多数発生しています。
鋼桁の接続部(切欠き部)を中心に疲労亀裂
更新に当たっては、線形や維持管理性の向上も企図し、橋梁全体を架け替えます。地元の都市計画調整や用地取得、支障物移設など多くの課題があり、工事開始はオリンピック後になる予定です。