東品川桟橋・鮫洲埋立部更新は今年度着手
長期耐久性を考慮した高架形式に
――個別の案件を1号羽田線の東品川桟橋・鮫洲埋立部から。
菅原 今年度内に工事契約手続きに着手し、来年度内の工事着手を予定しています。
手順としてはまず、事業化されていない都市計画道路の区域(護岸と現在の供用路線間の狭い水路、都道放射18号線建設予定地)を活用して迂回路となる仮設橋を設置して上り線を迂回路に切り替え、現道の一部を撤去して上り線を建設します。新しい上り線ができればそこに暫定的に下り線を切り替え、現道を撤去し下り線を新設し、完成後は仮設橋を撤去して完全に更新路線に切り替えます。
東品川桟橋は長期耐久性と維持管理性を考慮し、現道のようなハイウォータレベル(HWL)との桁下余裕高が極めて狭い構造から、15~20㍍の桁下余裕高を有する高架形式に作り変えます。鮫洲埋立部も長期耐久性を意識した構造物に作り変える予定です。
構造物点検技術訓練室
――事業期間は13年と極めて長い期間を見込んでいますがその理由は。
菅原 これは全ての大規模更新の現場で言えることですが、一番の理由は、交通を止めずに更新工事を行わなければならないことにあります。したがいましてまず迂回路を作る必要があります。仮設といえども首都高速道路として供用する構造物ですから、耐震性・安全性の両面でしっかりとしたものを作らねばなりません。その上で本体構造物の撤去、更新、仮設橋の撤去、水道橋や歩道橋など横架構造物との調整をしなければならず、新設高架橋の建設に比べて単純に考えても3倍の期間が必要になります。
また、この区間特有の事情として、多数の住宅などが隣接している影響で、昼間でも静粛さが求められ、夜間は工事ができません。加えて、東京モノレールが隣接しており、モノレールの高架とりわけ基礎に影響を与えない慎重な施工が求められます。こうした理由から事業期間を13年と見込んでいます。
現状の東品川桟橋部コンクリートの劣化が目立つ。隣接する高架は東京モノレール
――同大師橋は。
菅原 現橋を撤去し、同じ位置に架替えることを想定しています。
高速大師橋の損傷状況
現橋は昭和43年に供用した橋長約300㍍の3径間連続鋼床版箱桁橋で供用後45年を経過しています。建設時に多摩川への影響を極力抑えるため、支間長を長くし、古い基準により上部工を軽量化した構造(横リブの間隔が5㍍と長く、桁高も3㍍と低い)であり、橋全体がたわみ易く、主桁や鋼床版のリブに多数の疲労亀裂が生じています。更新に当たっては、最新の技術基準に基づき高耐久性の橋梁に造り替えます。更新後は上部工の鋼重が増加するため、下部工や基礎も全て更新する必要があります。工事中の交通影響を軽減するため、施工中は迂回路を設けて切り替えます。