進行管理システムを導入
各管理局に補修総括などを配置
――「進行管理システム」の具体的な内容を教えてください。
菅原 年度初めに全社的な損傷対策件数目標を立てるとともに、各管理局別に同様の目標を立てます。毎月その補修件数や内容を報告することで、進捗状況を細かく把握し、遅れている個所については、その理由を精査することで人員や人材を傾斜し立て直すことができるようにしています。
――業務推進体制の強化で本社に専任の担当部長、各管理局に損傷補修担当者を置くことを挙げていますが、これはどのような基準で設置するのでしょうか。
菅原 各管理局に補修総括、補修担当、補修設計担当を任命します。彼らは維持管理の現場における技術的な選択を行います。
――彼らは他の役職と兼任するのではないのですね。
菅原 補修設計や施工を行う部署の中から担当者を任命しています。
――グループ各社の取り組みでは人員の強化が目立ちますが、これは配置転換でなく純増と考えていいのでしょうか。
菅原 そうです。24年度末の累積損傷件数は10万件を超えており、笹子トンネルのような事故を起こさないためには点検の強化と、損傷が軽微なうちに手を打つための人員が必要であると考え、体制を強化しました。加えて巡回パトロールカーや規制用車両も増備しました。鋼床版疲労亀裂探査用の磁粉探傷試験機、ポールカメラ、点検ロボットなど非破壊検査機器の開発・装備の増加も進めています。
ソフト面の強化としては、点検技術の高度化を目的にグループ会社の首都高技術(株)内に「構造物点検技術訓練室」を設置するとともに、現場点検技術者のスキルアップを図るための座学および実技研修も増やしています。
東品川桟橋・鮫洲埋立部の更新イメージ
――維持管理技術の更なる向上を目指して三木千壽・東京都市大学教授を委員長とした都市基盤施設の再生工学に関する研究を始めました。点検の現場(首都高技術(株))から研究((一財)首都高速道路技術センター)、管理者(首都高速道路(株))の人材を集めて行う研究と聞いていますが、その具体的な内容について教えてください。
菅原 具体的には①メンテナンスデータベースと点検・診断システムの構築、②非破壊検査の適用性検討、③新しい非破壊検査方法の開発、④変位誘起疲労の原因同定システムの開発、⑤構造物の劣化検知モニタリング、⑥補修補強技術の6項目です。