高度化した「点検支援アプリ」の現場試行を開始
NEXCO東日本 耐震補強未対策1,336橋の実施計画を年内目途に策定
東日本高速道路(由木文彦社長 右肩写真)は25日、本社で定例会見を開催し、耐震補強の進捗状況やインフラ管理の効率化・高度化を図るプロジェクト「スマートメンテナンスハイウェイ」(SMH)の取組み内容などを説明した。
耐震補強では、管理橋梁全6,070橋で「落橋・倒壊をしない性能」の確保は完了。熊本地震を契機に2016年度から実施してきた「橋としての機能を速やかに回復可能な性能」の確保については、2022年度末で管理橋梁の78%にあたる4,734橋で対策が完了、1,336橋が未完了となっている。由木社長は、対策未完了橋梁に対して「年内を目途に耐震補強実施計画を策定する」ことを明らかにした。
耐震補強の進捗状況(NEXCO東日本提供。以下、同)
高速道路の耐震補強状況については、会計検査院が14日に検査結果を公表。NEXCO3社と本四高速に、熊本地震以降に開始された耐震補強の進捗が遅れていること、地震時においてミッシングリンクを生じる恐れがある区間を解消させるための措置を講じるべきである、との意見表示が出されていた。
進捗の遅れでは、詳細設計や工事の発注で不調・不落が多いことも要因のひとつとして考えられていた。橋梁コンサルタント数の減少や複雑な補強設計、資材と人件費の高騰、工事進入路や足場構築で困難がともなう山間部や河川内の現場が多いといったことが、その原因だ。これに対し同社では数年前から、設計では複数橋梁を対象とする基本契約方式を導入し、工事では工事目的物以外の費用を反映することや、契約締結から工事着手までの猶予期間を設けるなどの対策を行った結果、「かなり不調・不落の率は下がってきている」(八木茂樹事業管理本部長)とのことだ。
2020年度に開始され2022年度から第2期となっている「SMH」の取組みでは、「点検支援アプリ」や「防災ドローン」が紹介された。
点検業務では効率化を図るためにタブレットPC等を導入して点検管理システムに集約しているが、点検実施後のシステムへの入力作業が登録件数や項目が多いため時間を要する課題があった。このため、システム入力を含めた一連の作業をタブレット1台で行える第2世代の点検支援アプリを開発し、現場での試行を開始した。また、同アプリは各点検員の点検状況が即座に共有される特徴も有している。これらにより、損傷箇所の早期把握や迅速な補修計画の策定・補修が可能になるとのことだ。
点検支援アプリの概要
災害現場復旧の迅速化のために導入されている防災ドローンは、これまで各支社のみに配備されていたが、全管理事務所にも配備した。防災ドローンは、防水・防じん仕様で、動作温度が-35℃~43℃の広範囲に対応。サーマルカメラ搭載により夜間撮影が可能なほか、3Dモデルにより流出土量算出などにも活用できる。
防災ドローンの概要