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壁高欄は場所打ち以外では鋼製、伸縮装置はゴムジョイントを採用

首都高速道路 高速大師橋 新設橋への架替えが完了して供用開始

公開日:2023.06.15

 首都高速道路は、高速大師橋更新事業にともない高速1号羽田線の一部区間を2週間、終日通行止めにして新設橋への架替えを行っていたが、10日午前5時に予定どおり通行止めを解除した。前日の9日には架替えがほぼ完了した現場が報道陣に公開された。区画線が引かれた真新しい橋梁の上に立つと、わずか2週間で既設橋撤去から新設橋での供用を果たすことに感銘を受ける。それも台風2号の影響で約1日工事を一時中断しなければならない中での施工だった。


新設橋の横取り完了後(左)と橋面工完了後(右)(首都高速道路提供。撮影:共映)

P4側(川崎側)から見た新設橋(大柴功治撮影。注釈なき場合は以下、同)

P7側(東京側)方向/現場公開当日も検査が続けられていた

 通行止め期間中の工程は既報(下記、関連記事参照)のとおりだが、時間を要したのは新設桁の位置調整と門型橋脚の溶接作業だったという。新設桁は約4時間かけて上流側にスライドさせた後、橋脚位置と端部位置の微調整を行っている。ジャッキを用いて慎重に調整を行いながら、規定位置に収めていったが、その作業に丸1日を要している。
 門型橋脚(P5・P6)の溶接は1箇所につき1班8人体制で、それを昼夜各4人として24時間体制で施工していった。板厚は脚部の仕口が95mm、梁部の仕口が70mmであり、これを約60周溶接しなければならず、作業完了までに丸2日かかった。


1箇所につき1班8人、24時間体制で溶接作業を行った(首都高速道路提供。撮影:共映)

 壁高欄は端部が場所打ちコンクリートで、それ以外は中央分離帯と路肩側ともに鋼製壁高欄(コプロ)を採用している。場所打ち以外は、台船架設後に下流側のベント上で行った橋面工として横取り前に施工しており、その施工性と死荷重を考慮して鋼製を採用した。
 伸縮装置は、ゴムジョイント(ダイヤフリージョイント)を採用。通行止め期間中に設置可能な伸縮装置として、既設と同形式のゴムジョイントとした。


端部の場所打ちコンクリート高欄(左:P4側/右:P7側)

両端部以外は鋼製壁高欄を、伸縮装置はゴムジョイントを採用

 今後は、夜間に車線規制を実施して透光板の設置、場所打ちコンクリート高欄の塗装と排水桝のプレート設置などを行っていく。上流側に横取りした既設桁については、センタースパン(P5~P6)を約60mのブロックに切断して台船上に降下して搬出する計画となっている。両サイドは小ブロックに分割して台船で搬出していく。


今後、既設桁・横取り設備・既設橋脚の撤去および恒久足場の設置などを行っていく

 通行止めによる交通への影響は、「多くのお客様のご理解・ご協力により、当初懸念していた渋滞状況には至らなかった」(首都高速道路)ものの、迂回路となる湾岸線を中心に渋滞が発生した。例えば、葛西JCT⇒空港中央の通過時間は予測では最大約60分であったが、5日の実績では最大約50分(通常最大約30分)となった。また、一般道では、通行止め区間周辺の産業道路や第一京浜(国道15号)などで交通集中・渋滞増加が見られたとのことだ。


6月5日の交通状況(首都高速道路提供)

 今回の通行止め解除にあたり、同社の前田信弘社長は下記のコメントを発表している。
「通行止め期間中は、首都高速道路および通行止め区間周辺の一般道路で通常以上の渋滞・混雑が生じるなど、お客様および通行止め区間周辺の一般道路をご利用されている皆さまには大変ご迷惑をおかけしましたが、工事や渋滞緩和へのご理解とご協力をいただき、誠にありがとうございました。
 今後も、『首都高リニューアルプロジェクト』を進めるなど、お客様へ安心・安全な首都高速道路を提供し、首都圏のひと・まち・くらしを結び、豊かで快適な社会の創造に貢献してまいります」

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