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まず、1,250tクローラークレーンを使ってP3-A2の車道部及び歩道部を吊下ろす

岐阜国道 被災した川島大橋の鋼桁の撤去を開始

公開日:2022.03.11

 国土交通省中部地方整備局岐阜国道事務所は、各務原市内の木曽川渡河部に架かる川島大橋の撤去を進めている。昨年5月の豪雨で河床が洗堀され、底部に約70cmの空洞が発生、上流側に約39cmの水平変位、約23cmの鉛直変位がおきるなどして橋脚が傾斜し、上部工にも上弦材の座屈や上横構の変形、桁の変位など損傷が生じているため、復旧を断念し、新橋に架け替えるもの。車道だけでなく、歩道橋についても撤去する予定。歩道橋については約300m下流に橋長約400m、歩道幅員4mの仮橋をかけて供用すべく工事を進めている。(井手迫瑞樹)

 

先行して床版コンクリートを撤去
 A1-P3も撤去施工方法を検討

 川島大橋は、各務原市川島松原町~川島笠田町の木曽川渡河部に架かる橋長343.5mの鋼5径間連続下路トラス橋。下部工は壁式橋台、壁式橋脚でケーソン基礎(支持地盤は砂礫層)を採用している。下流側にはほぼ同じ長さの下路トラス橋(歩道橋)が架かっている。
 豪雨に伴う橋脚の損傷後、道路管理者である岐阜県が落橋を防ぐための対策としてヘリ袋詰め玉石を用いた洗堀対策、P4橋脚の根固め工および固定化(グラウト充填)工、上部工の変形抑制、上横構および上弦材の補強工を施した。
 一方、川島大橋の通行止めにより各務原市がスクールバスなどによる送迎を行うなど、地域の通勤・通学に影響がでていた。そうした実情や岐阜県知事からの要請も踏まえ、2021年9月に国が災害復旧事業を代行することになった。
 その上で今回、岐阜国道事務所がP3~A2の橋桁の撤去に着手した。桁の撤去を行う前に、少しでもクレーンの吊り荷重を抑えるため、先行して桁上の床版を切断・撤去した。記者が取材した3月2日は、まずP3-P4の車道部(径間長72m、重さ約120tについて、1,250tクローラクレーンを用いて、5m程度吊り上げ、右側に270°(3/4回転)クレーンを旋回させて、10mほど下ろし、ヤード内上流側に設けている仮設治具の上に仮置きした。同クレーンは360tオールテレーンクレーンを用いて、約1週間かけて組み立てた。
 同クレーンによる撤去は同日13時半ごろから開始し、15時半ごろに撤去を終えた。3日には同径間の歩道部(約60t)、4日はP4-A2間62m(約50t)の歩道部、5日は同車道部(約110t)を撤去した。歩道部はいずれも下流側にある仮置きヤード、車道部は同上流側の仮置きヤードにそれぞれ吊下ろした。今後は河川内に下した桁を切断・搬出、P4橋脚の撤去を行うと共に、A1-P3間の桁および橋脚の撤去についても施工方法を検討した上で、撤去を進めていく方針だ。




3月2日に施工されたP3-P4車道部の桁撤去状況(井手迫瑞樹撮影)

P3-A2間の全桁が撤去された状況(国土交通省岐阜国道事務所提供)

 施工は三井住友建設鉄構エンジニアリング。クレーン一次下請は河西運輸。(詳細版は4月末ごろに『現場を巡る』において掲載予定です。)

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